Photo:Anna Moneymaker/gettyimages
債券市場の安定を目指すスコット・ベッセント米財務長官にとって、トランプ政権が推進するもう一つの政策が追い風となる可能性がある。それは暗号資産に関する規制の法制化だ。
米財務省は先週、長期債の買い戻し額を引き上げる方針を発表した。それに要する資金は短期債の発行増で賄う計画で、ベッセント氏はCNBCの番組でそれを「トレジャリー・ツイスト」と表現した。これに関して注目すべきなのは、ベッセント氏が以前、短期国債の需要を大きく押し上げる可能性のある要因として、ステーブルコインに言及していたことだ。
両者が関連しているのは、昨年成立したステーブルコインの規制について定めたジーニアス法の下で、ドルの価値への固定を目指す米国発行のステーブルコインは、その裏付けとして特定の資産しか利用できないと定められたからだ。その特定資産には、93日以内に満期を迎える米国債が含まれている。
ステーブルコインの時価総額は、今のところ約3000億ドル(約48兆円)だ。これは全体像で見るとまだかなり小さい。米国のマネー・マーケット・ファンドは8兆ドル近くに上る。しかし、ベッセント氏は過去に、ステーブルコインが4兆ドル近い市場に成長する可能性があるという予測を引用し、「ステーブルコインは政府の借り入れコストを引き下げる可能性がある」との見方を示していた。
暗号資産市場の他の分野を規制しようとするクラリティー法が成立すれば、ステーブルコインの成長をさらに後押しする可能性がある。同法は、ステーブルコイン保有への報酬率をめぐる銀行と暗号資産企業の対立に巻き込まれている。貸し手にとって、この報酬は銀行預金の利回りに対抗しようとするものだ。
ドナルド・トランプ米大統領は先週、クラリティー法の可決を促すため、暗号資産企業幹部をホワイトハウスに招いた。証券取引委員会(SEC)も先週、暗号資産の新たな規制枠組みを提案した。
こうした動きを背景に、ここにきて暗号資産関連株が急伸している。ステーブルコイン「USDC」の発行元であるサークル・インターネット・グループと、USDCの保有者に報酬を提供するコインベース・グローバルの株価は、先週いずれも20%超上昇した。
TDカウエンのアナリスト、ブライアン・バーギン氏は最近のノートで、ステーブルコインにとって、クラリティー法が成立すれば「規制の確実性が高まり、摩擦が少なくなるだろう」との見方を示した。ただ、同氏は、同法がなくてもステーブルコインの利用はすでに進んでいたと指摘している。
ステーブルコインと米国債の関係は非現実的なものではない。ブルッキングス研究所のハッチンズ財政・金融政策センターが発表した最近のレビューは、ステーブルコインは短期国債に対する大量の需要を新たに生み出す可能性があると指摘しており、特に銀行口座からの資金移動や外国人による購入が見られれば、その傾向が強まるとみている。








