アメリカ大陸に人類がやってきたのは、今から約2万2000年前。氷河時代、海面が下がって現れた「ベーリング陸橋」を渡り、アジアから人々が移動したと考えられている。だが、これは数ある仮説のひとつにすぎない。人類はなぜ新天地を目指し、どのようにアメリカ大陸へたどり着いたのか。マンモスを追って暮らした狩猟採集民の足跡を、『アメリカの中学生が学んでいる 14歳のアメリカ史』から紹介する。

【アメリカ史の謎】2万2000年前、人類の大移動を実現した「ベーリング陸橋」とは?Photo: Adobe Stock

大移動

 南北アメリカ大陸には、科学者たちが考えていたより、はるか昔から人が住んでいた。紀元前2万年ごろ(紀元前は西暦1年より前、ということ!)、つまり2万2000年前には、初めて人がやってきた。

 これらの人々は、遊動狩猟採集民だった。動物の群れを追いかけて移動を繰り返しながら、狩りをしたり、植物を採集して食べたりしていた。全人類の祖先と同じように、アフリカで誕生し、数千年後にアジア大陸を東や北に移動した。ある集団が、ひとつの場所から別の場所に移動することを、大移動と呼ぶ。

氷河時代とベーリング陸橋

 遊動狩猟採集民が暮らしていた氷河時代は、地球の広い範囲が氷と雪におおわれ、海も凍っていた。陸の氷が増えると海面が低くなり、もっと暖かい気候では水没している陸地が現れる。アジア北東の端と現在のアラスカを結ぶ陸地、ベーリング陸橋(またはベーリンジア)も現れた。

 陸橋説によると、遊動狩猟採集民は、主に食料を求めてこの陸橋を渡り、アジアから北アメリカ(現在のアラスカ)にたどりついた。アメリカ大陸には、毛におおわれたマンモスやマストドンといった巨大な動物がたくさん生息していた。たった1頭つかまえれば、ひとつの集団の全員が何カ月も食べていけた。

 陸橋説は、たくさんある仮説のひとつだ。人々がどのようにアメリカ大陸へ渡ったのかについては、科学者たちのあいだでまだ結論が出ていない。

 陸橋説によると、人々は紀元前1万500年ごろまでベーリング陸橋を渡り続けていた。これは、約10万年にわたって続いた最後の氷期がついに終わりを迎えた時期までだった。海面が上昇してベーリング陸橋が水没すると、アジアからの大移動はできなくなった。氷河時代の動物は死ぬか、猟によって絶滅した。代わりに、より温暖な気候でも生きていける小型の動物が増え、人々の食生活と生活様式が変化した。