「人生を振り返って、後悔の一つもない」――そう言い切れる人は、ほとんどいないだろう。年齢を重ねるほど、「あのとき別の道を選んでいれば」「もっと早く始めていれば」と、過去の選択を思い返す機会は増えていく。しかし、老後がうまくいくかどうかを左右するのは、後悔の「数」ではない。むしろ、後悔をどう受け止め、その後の人生にどう生かすかに大きな違いがある。では、老後が「うまくいかなくなる人」は、後悔とどのように向き合っているのだろうか。『人生は気づかぬうちにすぎるから。「自分第一」で生きるための時間術』の内容をもとに、そのヒントを紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

老後が「うまくいかなくなる人」の共通点・ワースト1Photo: Adobe Stock

「後悔」だけでは前に進めない

「あのとき、別の道を選んでいればよかった」
「もっと早く、やりたいことに挑戦すればよかった」
年齢を重ねるほど、過去の選択を振り返り、こうした思いを抱くことは増えていく。

できることなら、後悔のない人生を送りたい。
そう考える人は少なくないだろう。

しかし、どれほど慎重に選んでも、すべてが思い通りに進むわけではない。
何かを選べば、選ばなかった道が残る。
最善だと思った決断を、あとになって悔やむこともある。

それにもかかわらず、「絶対に後悔してはいけない」と考えていると、一つの失敗をいつまでも引きずったり、間違えることを恐れて新しい選択ができなくなったりする。

大切なのは、後悔を一つも残さないことではない。
過去を変えられない自分を責め続けるのではなく、その経験を抱えながら、これからどう生きるかを考えることだ。

後悔を避けようとしない

そのヒントになるのが、次の考え方である。

 私は痛い目に遭いながら、人生においては、ある程度の後悔は自然で避けられないものだということをゆっくりと学んでいった。それは居心地の悪いものだが、大人なら誰でも何らかの後悔を抱えているものである。
 世の中には、「後悔することなく生きよう」というメッセージが溢れている。だが、後悔を避けることばかりに意識を向けていると、人生がうまくいかなくなる。
 なぜなら、私たちはこれからも後悔をしていくからだ。後悔を避けるのではなく、後悔とともに生きる術を学ぶことで、私たちは強くなれる。

――『人生は気づかぬうちにすぎるから。「自分第一」で生きるための時間術』より

後悔を抱くことは、人生に失敗した証拠ではない。
長く生きていれば、「あのとき、違う選択をしていれば」と思う出来事の一つや二つは残るものだ。むしろ、何かを真剣に選び、大切にしようとしてきたからこそ、後悔が生まれることもある。

問題は、後悔があることではない。その後悔を理由に、残された時間まで諦めてしまうことだ。
「あの選択をした自分は間違っていた」
「もう取り返しがつかない」
「今さら何を始めても遅い」

そう考え続けていると、過去の出来事だけでなく、これから選べるはずの未来まで失ってしまう。
過去そのものを変えることはできない。

しかし、その出来事をこれからどう受け止め、どう生かすかは変えられる。
会えなかった人がいるなら、今会いたい人に連絡する。
挑戦しなかったことを悔やんでいるなら、今日できる小さな一歩を探す。
誰かを傷つけたことが心に残っているなら、謝れるうちに言葉を伝える。
仕事ばかりを優先してきたと思うなら、これからは自分や家族のために使う時間を先に確保する。

大きく人生をやり直そうとする必要はない。
後悔から気づいたことを、今日の選択に一つだけ反映させればいい。

過去を何度も振り返って自分を責めるだけでは、何も変わらない。
だが、「この経験から何を学び、次はどうするか」と問い直せば、後悔はこれからの生き方を決める手がかりになる。

人生の後半を穏やかに過ごせるかどうかは、後悔が少ないかどうかだけで決まるものではない。
変えられない過去を抱えながらも、今日の時間を自分の意思で選び直せるかどうか。
その小さな選択の積み重ねが、これからの人生を少しずつ変えていくのである。