親とは違う「自分の適性」を冷静に見極める
さらに興味深いのは、綱男氏のプライベートな一面です。安吾といえば、常にお酒と隣り合わせの破滅的なライフスタイルが有名ですが、息子である綱男氏はどうなのでしょうか?
私は綱男さんが関わるイベントに招待していただいたことがあり、講演をしたことがあるのですが、その懇親会で綱男さんとご一緒したとき、ちょっと興味深いことを知りました。
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
どんな豪快なエピソードが飛び出すのかと思いきや、事態は意外な展開を見せます。
私の隣にいた綱男さんにビールを注ごうとすると、「すみません、私、酒はダメなんです」とおっしゃるのです。
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
あの無頼派・坂口安吾の息子が、実はお酒が飲めないという事実は、非常に象徴的です。
「親がこうだったから」「周囲からこう見られているから」といって、無理にそのイメージに合わせる必要はありません。むしろ、親の姿を冷静に客観視し、「自分には合わないもの」を正しく把握している証拠でもあります。
私たちは時に、上司のスタイルや会社の風土に合わせて、無理に自分を作ってしまいがちです。しかし、自分の適性や体質に合わないことを続けると、どこかで必ず無理が生じます。
「自分にはこれはできない」「やらない」と明確に線引きできる自己認識の高さが、長く健やかに活躍するための最大の武器になるのです。


