「まだ若いから大丈夫」と思っていても、身体の老化は30代から静かに始まっている。そして、この時期にどう過ごすかによって、10年後、20年後の身体には大きな差が生まれるという。年齢を重ねても若々しく、好きなことを楽しめる身体を保つためには、何をすればいいのか。医師で老年医学の専門家であるガブリエル・ライオン博士の著書『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』から紹介する。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)
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体の変化は静かに進行する
30代という年齢は、人生における大きな分岐点だ。仕事や私生活が充実する一方で、20代の頃とは明らかに異なる「身体の衰え」や「疲労の抜けにくさ」を感じ始める時期でもある。この時期をどう過ごすかが、その後の40代、50代、そして老後の肉体格差を決定づける。
30代から筋トレをする人としない人、その後の身体にどのような違いが生まれるのだろうか。
多くの人は、30代の時点ではまだ「自分はまだ若いから大丈夫だ」と高を括っている。
しかし、医師で老年医学の専門家であるガブリエル・ライオン博士は著書『筋肉が全て』の中で、若さに甘んじて悪い習慣を放置することの危うさを指摘する。
しかし、若さ頼みの無理を続けていると、悪い習慣が身について抜けられなくなる。
20代や30代の人は、健康について特段の心配はないかもしれないが、油断はできない。
骨の量は、およそ25歳から30歳のあいだにピークに達する。
骨の健康は、筋力と、筋肉と骨の相互作用によって大きく左右される。
除脂肪体重と骨密度のあいだには明確な正の相関がある。
ピークということは、そこから先は下りしかない。
最良の下り坂を準備しよう。――『筋肉が全て』より
30代から「筋トレをしない人」は、このピークを過ぎた下り坂を何の備えもなくただ転がり落ちていく。筋肉が減少し、骨密度が下がり、代謝が落ちることで脂肪が蓄積しやすくなる。
一見、現状維持ができているように見えても、体内ではエネルギー生産工場であるミトコンドリアが減少し、慢性的で不条理な疲労感に苛まれるスパイラルが着実に始まっている。
トレーニングの効果は一生残る
一方で、30代から「筋トレを続ける人」は、下り坂に抗うための「貯筋(筋肉の貯金)」を能動的に蓄えている。この時期のトレーニング刺激は、将来の生活の質を担保する強固な土台となる。
多くの人の想像と違い、それは30代からすでに始まっている。
若いころに筋肉を強化しておくと、生物学的な予備能力を蓄えることができ、その効果は一生残る。
つまり、高齢者が筋力と筋肉量を維持する能力は、減少のスピードだけでなく、減少が始まった時点の筋肉量によっても決まるということだ。
若いころに身体を鍛えたかどうかが、身体のシステムを制御し、最終的なエネルギー、気力、持続力を決定する。――同書より
30代から筋トレを続けてきた人は、年齢を重ねても高い「生物学的予備能力」を維持しているため、老後の体力減少期に入っても自由に行動できるだけの活力を保ち続けることができる。何歳になっても自分の足で歩き、好きなことに没頭できる気力を維持できるのは、かつて積み上げた筋肉の貯金があるからだ。
始めるのに遅すぎることはない
もしあなたがすでに30代を過ぎ、運動不足のまま40代や50代を迎えていたとしても、絶望する必要は一切ない。
筋肉が健康なら、健康長寿を謳歌できる可能性が高まる。
健康な筋肉は、いまからでも身につけることができる。手遅れということはない。――同書より
今からでも決して遅くはない。安易な快適さに流されるまま急速に老け込んでいく道を選ぶのか、それとも今日から自律的なトレーニングを開始して「最良の下り坂」を自らデザインしていくのか。その日々の選択の違いが、将来の私たちの姿を全く異なるものへと変えていく。







