ADHD(注意欠如多動症)の当事者で、ASD(自閉スペクトラム症)とADHDの2人の娘さんをもつなちゅ。さん。新刊『ADHDの母が伝えたい 生きづらい女の子が覚えておきたいこと』では、子どもから大人まで一生使える具体的な対応策を伝えている。今回のテーマは、大人になってからの友達の作り方。友達ができない人が、どこでつまずいているのか。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【発達障害・人間関係のリアル】コミュ障だった私が発見した「大人になってから友達をつくる方法」Photo: Adobe Stock

大人と子どもでは、「友達」の形が違う

――なちゅ。さんも、長く友達がいなかったそうですね。

なちゅ。:長い間、こじらせコミュ障で友達のいない人生をやってきました。でも「大人の友達の作り方」を知った今は、大人になってからできた友達がいっぱいいます。

大人と子どもの大きな違いは、「教室」という枠がなくなることなんです。

学生時代は、教室という狭いコミュニティに押し込められて、半ば強制的に距離を近づけさせられて、毎日顔を合わせる。そこでなんだか浮く、輪に入れない、少しずつはみ出していく。

でも、大人になってからの友達の形は、もっと気楽で、距離があります。学生時代のように、常に誘い合う必要もないし、誕生日を毎年祝ったりしなくていい。

まずは、知人ではなく友達と呼んでみる

――具体的には、どうすればいいのでしょう。

なちゅ。:私の経験ですが、次の3つ実践すれば、いくらでも友達は作れます。

ひとつめが、「知人」と言いたいところを「友達」と言ってみること。いきなり「友達」と呼ぶのがハードルが高ければ、「お友達」が便利です。第三者に「お友達なんです」と紹介すると、雑な関係ではなく、経緯のある関係風に聞こえます。知人と友達の間の、ちょっと丁寧なポジション取りですね。

ふたつめが、友達ができそうな場に足を運ぶこと。趣味の会、習いごと、地域の集まりなど、定期的に同じ人間と顔を合わせる場です。友達が友達を連れてくるのをOKにして、初対面の人と友達になります。

みっつめが、積極的に雑談をして、会話には「わかる~」と共感してみること。友達をつくるためには、会話の中身より、雑談をした事実のほうが大事です。

友達を増やして、依存先を分散する

――友達を「軽率に増やす」ことに、意味はありますか。

なちゅ。:はい、大人になってから友達が増えることには、実利があります。「依存の分散」ですね。

依存先が少ないと、人はその少ない相手に強くすがってしまうんですね。関係が重くなり、相手の些細な行動に振り回され、手放せなくなる。一点賭けは、賭けられた相手もしんどくします。

依存先が多ければ、ひとりにすがらずに済む。今日はこの人と雑談して、週末はあの集まりに顔を出して。広く浅く所属するコミュニティを増やしていくのは、薄情なのではなく、自分と相手の両方を守る安全設計なんです。

義務のない友達をたくさん持つことと、いざというときに頼れる関係が育つことは、矛盾しないんです。むしろ、軽い友達がたくさんいる人のところに、助けは自然と集まってくるものだと思っています。

[著者]
なちゅ。
1980年生まれのワーキングマザー。発達障害(ADHD:注意欠如多動症)当事者。中学生と高校生の娘、そして夫も発達障害の特性を強く持つ。長女の発達障害診断をきっかけに、発達障害やそれに関連する分野の独学を開始。以来15年以上、自らの発達障害や子育てについてXを中心に情報発信を行う。仕事でも、障害福祉分野でマネジメント担当をしながら、個人事業主として講師業やスタートアップのサポートに従事。なかでも、自身の経験を活かした発達障害の親子のケアに力を入れている。

[医療監修]
本田秀夫(ほんだ・ひでお)
医師・信州大学医学部教授
1988年東京大学医学部卒。医学博士。専門は発達精神医学。信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 教授。信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部 部長。長野県発達障がい情報・支援センター「といろ」センター長。