オフィスで電話をするスーツ姿の男性写真はイメージです Photo:PIXTA

40代後半で新規事業を任されるも苦戦、社長に状況を聞かれて、思わず「競合との人員差」を口にした。返ってきたのは「そんなのは言い訳だ」のひとこと。その後、重要な仕事を任されなくなり挫折を味わうことに……。なぜ人は、いくつになっても判断を誤ってしまうのか。幕末の思想家の名著を、現代のビジネスパーソン向けに再整理した。※本稿は、佐藤一斎著、小椋浩一訳・解説『リーダーをつくる123の言葉 超訳『言志四録』』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

自分を守るための言い訳が
周りの信頼を失わせる

 自分の重みと深さを意識しましょう。石は重ければ動かない、根は深ければ抜けないのです。

 それは、あなたがどれだけ自分に足りないものを学び、自分を磨いたかどうか。ぶれない軸が、あなたに備わったのかどうか。その重みと深みなのです。

 浅い知識をひけらかせば、恥をかくことになります。軽い人だとあなどられれば、信頼は得られません。リーダーとして恥をかけばあなたから人は離れ、信頼が得られなければ、孤立します。筆者も何度もこの失敗をしました。

 新規事業がうまくいかず悩んでいた際、当時の社長とエレベーターで一緒になり、状況はどうだと聞かれました。今思えば社長は、心から心配してくれていたのでしょうが、当時のわたしはリーダーとしての自分の評価が下がってしまうのではないか、という不安で頭がいっぱいでした。

「競合A社の開発人員は、うちの10倍も居るそうですよ」

 それを聞いた社長の顔色が、さっと変わりました。

「そんなのは言い訳だ!」

 それ以来、社長からは重要な仕事を任されなくなり、しばらくして他部署への異動が言い渡されました。表面的な知識だけでなく、深い学びがあれば避けられた失敗です。

「どうなのか?」より「どうすれば?」

 わたしの考えにそんな、重みや深みがあったなら……。学び続けることだけが、希望です。学びはあなたを確実に成長させ、重みを加え、深く根を伸ばすからです。

40代後半での大失敗から
救ってくれた『易経』の教え

 失敗は慣れないことよりむしろ、逆に慣れたことの方に多い、と言います。油断大敵、慢心は禁物、ベテランこそ責任重大です。

 慣れた仕事ほど、リスクを想定して危機管理の準備を徹底しましょう。決して、取り返しのつかない結果にならないように……。

「猿も木から落ちる」「弘法も筆の誤り」

 何度も聞かされてきたことにも関わらず、人には慢心というワナがあります。若いうちなら失敗も武勇伝と笑えますが、キャリアの後半ともなれば致命的で、お先真っ暗です。筆者は、そこに陥りました。40代後半にして、事業で失敗したのです。

「神様は居らんのか……」と天を仰ぎました。

 なまじ前半生が順調だっただけに、ショックは並大抵ではありません。というより、人生はじめての挫折が立場のある壮年になってから、という意味で修羅場になりました。

 先輩にも、部下にも、友人にも、家族にも、顔向けできない。未来もない。いっそ会社を辞めようかと思っても、40代後半では良い転職先もありません。