部下を指さして叱る上司写真はイメージです Photo:PIXTA

「優柔不断」→「周りに合わせられる」、「マイナス思考」→「リスクを想定できる」。短所は、見方を変えれば長所にもなる。チームを率いる上司は、部下をどう評価すべきか。幕末の思想家の名著を、現代のビジネスパーソン向けに再整理した。※本稿は、佐藤一斎著、小椋浩一訳・解説『リーダーをつくる123の言葉 超訳『言志四録』』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

短所に見える特性も
見方を変えれば長所になる

 相手を思いどおりにしたい、などという悪欲に負けないためには、相手への敬意を思い出しましょう。悪事の誘惑にあやつられないためには、あなたの本心にある誠を思い出しましょう。

 どんな人にも長所はあります。だから、すべての人に敬意を払うことは、可能なはずです。

 もし自分の頭に相手に関するネガティブワードが浮かんだ場合は、以下のようにポジティブワードに変換しましょう。

・優柔不断な人→周りに合わせられる人
・行き当たりばったりな人→臨機応変な人
・マイナス思考な人→リスクを想定できる人
・反抗的な人→表裏がない人
・不満が多い人→真剣な人

 これが「誠」です。あなたのなかにきっとあるはずです。

一見役に立たなそうな人でも
活躍できる場面は必ず訪れる

 役に立たない人などいません。もしそういう人がいるなどと思うのであれば、あなたの観察が足らないのです。人にはそれぞれに才能があって、それが活きる場はかならずあります。

 専門が違うと、自分の狭い常識から相手が間違っていると思いがちですが、そんなことでは、強いチームや、良い未来はつくれませんよ。相手の才能を見いだし、引き出し、活躍の場を提供しましょう。そして、何より自分がそこから学びを得ましょう。

『史記』にある「鶏鳴狗盗(けいめいくとう)」という中国の古い逸話を思い出させる言葉です。

 食客三千人、と言われるほど多くの人を養っていた、孟嘗君(もうしょうくん)という人物がいました。それほどの人数となれば、鶏の鳴きまねや泥棒といったことしか自慢できない人まで含まれていました。

 しかし、孟嘗君が敵国にとらわれたピンチにおいて、彼らの能力のおかげで門番をまどわせ、カギを開けて脱出することができました。

 未来に何が起こるか読めなくなった今の時代のチームもまた、できることの違うメンバーが集まっていること、つまり「多様性」と「適材適所」が大切になっています。

 そして、現場力もまた、チームのなかでお互いが、相手に何ができるかを知っている、という「相互理解」と「信頼関係」が必要なのです。

相手へのリスペクトが
心理的安全性を支える

 尊敬の心さえ忘れなければ、いつも相手と心静かに居られます。心の持ちよう、考え方で自分の状態は変わるからです。自分が変われば、それにより周りの空気もまた変わっていくのです。

 周囲への不満は、相手を低く見がちで、優越感を感じたがる、という自分の「獣欲」から来ます。