今年に入って間もないころ、中国人民銀行の顧問に率直な質問をぶつけてみた。不動産不況が4年目に突入する中、中国の逼迫(ひっぱく)した金融システムが本格的な危機に陥る可能性はどの程度あるのかと。それは金融危機をどう定義するかによる、とその顧問は答えた。西側のいくつかの基準からすれば、中国はおそらくすでに何度も危機を経験していると言えるかもしれない、と彼は示唆した。今月、中国政府が大手の銀行や保険会社に約3600億元(約8兆3000億円)を注入すると発表した際、私はその会話を改めて思い出した。印象的だったのは、資金力が最も弱い機関ではなく、中国工商銀行(ICBC)や中国人寿保険(チャイナライフ)といった金融システム内で最も強固な機関に流れ込んでいるという点だった。そしてこの計画が発表されると、中国の銀行株・保険株は上昇するどころか下落した。