「もっと自信を持ってほしい」「同じ失敗を繰り返してほしくない」。そんな思いから、つい子どもにアドバイスをしてしまう親は多いだろう。
しかし、よかれと思ってかけている言葉が、子どもの前向きな気持ちを遠ざけてしまうこともあるという。では、「自信のない子」の親がやりがちな声がけとは何なのか。『医師が教える 子どもの習慣50の基本』から一部抜粋してお届けする。(ダイヤモンド社書籍編集局)

「自信なさげな子ども」の親がやりがちなこと・ワースト1【小児科医が解説】Photo: Adobe Stock

よかったことを思い出すと記憶力がよくなる?

 就寝前に親子でどんな会話をしていますか?

 実はその日にあったよかったことを思い出すことが、記憶力の強化につながり、日々を前向きに柔軟性高く生きることに結びつくと、複数の研究で示されています(35)。

 2024年に「Journal of Happiness Studies」(幸福についての研究誌)という専門ジャーナルに発表されたスペインの研究報告では、その日にあったよかったことを具体的に思い出すことが記憶力の強化によいと述べています。

 また、よい記憶を思い出すことで記憶力そのものが強化されることも、研究で示されています。

 2018年にイギリスのアングリア・ラスキン大学の心理学者らの研究で、よかったことを思い出しているときの脳の画像をMRIでリアルタイムに観察した結果、より具体的に思い出すと脳の海馬と側頭葉(そくとうよう)・頭頂葉(とうちょうよう)のネットワークが活性化することがわかりました。
 これは記憶力がよくなっているということです(36)。

寝る前によいことを思い出すと幸せになれる?

 2023年の研究で、楽しかったことをずっと思い出しているグループと、つらかったことをくり返し思い出しているグループでは、明らかに「幸福感」に違いがあり、とくに寝る前によかったことを思い返すことで人生の満足感が高まると述べています(37)。

 ほかの研究でも、楽しかったことを思い出していると、前向き、上向きな感情が活性化し、ネガティブな思考が抑えられて、日々の、そして人生の満足感が得られ、レジリエンスを促進すると記されています。

 よかったことを思い出すと脳の報酬系が活性化するので、思考そのものも活性化します。さらに感情、情緒が安定しますよ!

寝る前の時間を反省タイムにしないで

 ありがちなのは、就寝前の時間を反省に費やすことです。
 たとえば、
「今日は○○ができなかったね。明日はちゃんとやろうね」
「なんでお友だちにあんなこといったの?」

 といった会話です。

 よかれと思って話していると思いますが、今日からはこんな会話をしてみてください。

「今日あったよかったことをママに教えて」
「忘れ物しないで習いごとに行けたね。すごいね!」
「みんなで水族館に行けて、楽しかったね。一番よかったのは何?」
「お友だちにやさしくしていて、かっこよかったよ」

 とびきりよいことがなくても、ささいなことでよいのです。きっと親自身もうれしい気持ちで1日を終えられると思います。

 私たちはみんな、幸せになるために生まれてきたのですから、子どもも大人も、人生の満足感をより味わって日々過ごしたいものですね。

35 Colombo, D, Pavani, JB, Quoidbach J, et al. Savouring the Present to Better Recall the Past. J Happiness Stud. 2024;25:20. doi: 10.1007/s10902-024-00721-2.
36 ARU Press Office. New study shows benefits of reliving past events. [cited 2026 Jul 31]. Available from: https://www.aru.ac.uk/news/new-study-shows-benefits-of-reliving-past-events
37 The Benefits of Reliving Your Happy Memories. [cited 2026 Jul 31]. Available from: https://www.psychologytoday.com/us/blog/a-buoyant-life/202303/the-benefits-of-reliving-your-happy-memories#:~:text=Health%20Benefits,by%20promoting%20buoyance%20and%20resilience.&text=What%20Is%20Resilience?,-Take%20our%20Resilience
伊藤明子(いとう・みつこ)

赤坂ファミリークリニック院長/小児科医/MD, MPH/BCIA認定ニューロフィードバック認定医
NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。
東京外国語大学卒、帝京大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科修了。医師になる前から同時通訳者として天皇陛下や歴代首相、米国大統領の通訳を務め、現在も医学系会議を中心に活動している。通訳の仕事をしながら2児をもうけたあと、40歳で医学部を受験し、医師に。卓越した英語力を武器に、海外の学術論文から日々最新の情報をアップデートしている。メディア出演も多く、わかりやすい説明と親しみやすい人柄で子どもはもちろん、その親からの信頼も厚い。著書に『医師が教える 子どもの食事 50の基本』(ダイヤモンド社)などがある。