朝起きたら、水を飲む、顔を洗う、歯を磨く……。何気なく続けている「朝いちばんの習慣」がある家庭も多いのではないだろうか。じつは、子どもの健康を守るために、朝起きて最初にやってほしいことがある。毎朝のちょっとした習慣だが、続けることでうれしいメリットが期待できるという。いったい何をすればいいのか。『医師が教える 子どもの習慣50の基本』から一部抜粋してお届けする。(ダイヤモンド社 書籍編集局)

【小児科医が教える】朝一番のベスト習慣は「水を飲む」「歯磨きする」のどっち?Photo: Adobe Stock

朝起きたら、まずは「歯磨き」を習慣に

 朝起きたら朝ごはんの前に、歯を磨く習慣をつけましょう。感染予防になり、歯を守ることにもつながります。歯磨きと聞くと、食後のイメージがあるかもしれませんが(もちろん食後の歯磨きも大切です)、「朝ごはんの前」がポイントです。

 寝ている間、私たちの口のなかは唾液(だえき)分泌が少ないので細菌が増えています(5)。口のなかの菌の種類は700以上、菌の数は通常2,000億ほどといわれていますが、起床時にはその5倍の数になっています。それらの細菌は、場合によっては病気のもとになることも。細菌だけでなく、風邪などの感染を起こすウイルスが口のなかやのどで増殖することもあります。

 飲食をしてバイキンを体内に入れてしまう前に、朝一番にまずしっかりとうがいをしましょう。そして歯を磨くことで、寝ている間に増えた口のなかのバイキンたちを洗い流せます。

 そのときに歯磨き粉を使うと、歯のエナメル質を保護できます。朝ごはんに果物や酸を含む食品(柑橘(かんきつ)類、フルーツジュース、炭酸飲料)を食べたり飲んだりしたときに、酸から歯の表面のエナメル質を守ることにもつながります(6)。酸はエナメル質を溶かすので要注意なのです。

 歯磨き粉を使うと食欲が落ちて朝ごはんを食べたくなくなるようでしたら、歯磨き粉は使わず、歯ブラシを十分に水でぬらしてやさしく磨いてください。

舌磨きって意味あるの?

 舌磨きは、欧米、アジアの多くの人のなかでは毎朝の習慣として定着しています。インド・スリランカのあたりで生まれた伝統医療であるアーユルヴェーダのなかにも、舌磨きの教えがあるくらい、古くから行われていました。

 舌磨きといってもゴシゴシと強くこするわけではありません。舌用の柔らかいブラシでやさしく磨きます。舌の奥のほうではなく先端の半分くらいを手前に向かってやさしくぬぐう感じです。ふだんの歯ブラシでもよいです。歯科医は歯磨き・舌磨きともに毛が柔らかいブラシをすすめています。

 新型コロナウイルス感染症が世界中で流行したときにも舌磨きは注目され、それがきっかけで始めた家庭も多いのではないでしょうか。

 舌磨きの際、裏側には触れず、舌の表面だけやさしく1回磨くのがよさそうです。舌の裏には緑色の野菜などから得られる植物性の一酸化窒素(ちっそ)が蓄積されていて、舌磨きの際にそれを取り除いてしまうことで、血圧の変動につながる可能性があるためです(7)。

 ただし、子どもの場合は血圧を心配する必要はまずありません。今後さらに研究が進むまでの間は、感染リスクを避けるため、やさしく1回だけの舌磨きをおすすめします。

5 Rajasekaran JJ, Krishnamurthy HK, Bosco J, Jayaraman V, Krishna K, Wang T, Bei K. Oral microbiome: A review of its impact on oral and systemic health. Microorganisms. 2024;12(9):1797. doi: 10.3390/microorganisms12091797.

6 Scottish Dental Clinical Effectiveness Programme. Toothbrushing. [cited 2026 Jul 31]. Available from: https://www.childcaries.sdcep.org.uk/guidance/caries-prevention/toothbrushing/

7 UCLA Health. Brushing your tongue could have adverse health effects. [cited 2026 Jul 31]. Available from: https://www.uclahealth.org/news/article/brushing-your-tongue-could-have-adverse-health-effects
伊藤明子(いとう・みつこ)

赤坂ファミリークリニック院長/小児科医/MD, MPH/BCIA認定ニューロフィードバック認定医
NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。

東京外国語大学卒、帝京大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科修了。
医師になる前から同時通訳者として天皇陛下や歴代首相、米国大統領の通訳を務め、現在も医学系会議を中心に活動している。通訳の仕事をしながら2児をもうけたあと、40歳で医学部を受験し、医師に。卓越した英語力を武器に、海外の学術論文から日々最新の情報をアップデートしている。メディア出演も多く、わかりやすい説明と親しみやすい人柄で子どもはもちろん、その親からの信頼も厚い。著書に『医師が教える 子どもの食事 50の基本』(ダイヤモンド社)などがある。