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若手の「静かな退職」が注目を集め、その対策に頭を悩ませる企業も少なくない。しかし、仕事への意欲を失った社員を引き留めることは、本当に有効な人材戦略なのだろうか。若手の在職状況を分析すると、企業がもっと目を向けるべき、意外な層が浮かび上がってくる。※本稿は、研究者の古屋星斗『あの若手はどうして辞めないのか』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
「静かな退職」という
バズ・ワードの罠
「この会社の仕事にやる気は全くないけど、残業もないし、休みもがっつり取れてコスパ・タイパが良いので、この会社を辞める気はありません」
面白おかしく人口に膾炙しやすいためか、若手のこうした「静かな退職」が半ばバズ・ワード化している。しかし、静かな退職は、現在の在職のいち状況に過ぎない。
確かに半数近く(46%)の若手が「静かな退職リスク」――つまり、「静かな退職」や実際に退職目前の状況――にあるが、逆に言えば半数以上の若手はそうではない“定着”状況にあり、そのなかで最も多いのが「静かな定着」の若手である。
なぜ静かな退職にばかり注目するのか。組織戦略の“コスパ”を考えれば静かな退職の状況にある若手のことを追い求めても、得られるものは少ない。
冷たいようだが、「静かな退職」の若手に投資をしてもリターンは乏しいのだ。例えば経営学におけるAMO理論では、「能力(ability)」「動機(motivation)」「機会(opportunity)」の3要素が向上することが組織の持続的競争優位性につながることが実証されている。(※)
(※)Jiang, K., Lepak, D.P., Hu, J., & Baer, J.C., 2012, How Does Human Resource Management Influence Organizational Outcomes? A Meta-Analytic Investigation of Mediating Mechanisms. Academy of Management Journal, 55(6), 1264-1294







