「何度起こしても起きない」「朝はいつも機嫌が悪い」。子どもの寝起きの悪さに、毎朝苦労している家庭も多いのではないだろうか。
じつは、朝が苦手なのは、寝る時間だけの問題とは限らない。何気なく作っている「寝室の環境」が、子どもの睡眠の質を下げている可能性があるという。では、避けたい「最悪の寝室」とは?
『医師が教える 子どもの習慣50の基本』から一部抜粋してお届けする。(ダイヤモンド社書籍編集局)
Photo: Adobe Stock
寝室は静かで暗い部屋がベスト
子どもは暗い部屋で寝るほうが、睡眠の質は明らかによくなります。しかも、その影響は大人よりも子どものほうがずっと大きいこともわかっています。
夜に光を浴びると、体内時計を整えるホルモンであるメラトニンの分泌が少なくなってしまいます。メラトニンは「そろそろ寝る時間だよ」と体に伝える役割をもつホルモンです。
光によってメラトニンが少なくなると、体内時計がズレて就寝時刻が後ろにズレます。また、寝つきが悪くなり、夜中に目が覚めやすくなります。
なお、鉄が不足欠乏していると、寝起きが悪くなることがわかっています。こちらのついては、別の機会にご紹介しましょう。
大人よりも、子どもは光の影響を受けやすい
複数の研究によると、就寝前のわずかな光(5~40ルクス程度)でも、子どものメラトニン分泌を少なくしてしまうことがわかっています(30,31)。
ちなみに、40ルクスというのは、薄暗い間接照明や廊下の光が漏れ込む程度の明るさです。「少し明るいかな」と感じるレベルでも、子どもには十分な悪影響があります。
なぜ子どものほうが影響を受けやすいかというと、子どもは瞳孔が大きく、水晶体が透明だからです。そのため、目に入る光の量が大人より多くなります(30)。
目がまだ発達途中であることも関係しています。
ちょっとでも明るいと悪影響が出る
臨床研究だけでなく、一般の子どもたちを対象とした大規模な調査でも同様の結果が出ています。
中国で行われた研究では、屋外の夜間人工照明(街灯など)が強い地域に住む子どもほど、睡眠障害のリスクが高く、とくに12歳未満の子どもでその影響が大きいことが示されました(32)。
また、若者を対象とした別の研究では、寝室の明るさが3ルクス以上になると睡眠効率が下がり、夜中に目が覚める回数が増えることが客観的な測定で確認されています(33)。
(3ルクス=4m先の人の挙動・姿勢などが識別できる程度以上の照度。警察庁「安全・安心まちづくり推進要綱」照度基準より)
寝るときの照明のポイント
●寝室の照明
就寝30~60分前から照明を暗くする
●スクリーンの光
スマホ、タブレット、テレビは寝る前にオフにする
●屋外の光
遮光カーテンで街灯や車のライトを遮断する
●廊下・隣の部屋の光
廊下の照明は暗くする。隣の部屋の光が差し込むこともあるので注意。
ドアの隙間からの光も意外と影響がある
●常夜灯
真っ暗がよいが、必要な場合は赤系、オレンジ系の暗めで落ち着いた光が比較的影響が少ない
寝室を暗くすることは、子どもの睡眠を改善するためにできる、最もシンプルで効果的な対策の1つです。子どもは大人が思っている以上に光に敏感。「ちょっとくらい明るくても大丈夫」は通用しません。
ぜひ「真っ暗」を意識して、寝室を準備してあげてくださいね。
31 Higuchi S, Nagafuchi Y, Lee SI, Harada T. Influence of light at night on melatonin suppression in children. J Clin Endocrinol Metab. 2014;99(9):3298-3303. doi: 10.1210/jc.2014-1629.
32 Wang LB, Gong YC, Fang QL, et al. Association between exposure to outdoor artificial light at night and sleep disorders among children in China. JAMA Netw Open. 2022;5(5):e2213247. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2022.13247.
33 Xu YX, Huang Y, Zhou Y, et al. Association between bedroom light pollution with subjectively and objectively measured sleep parameters among Chinese young adults. J Adolesc Health. 2024;74(1):169-176. doi:10.1016/j.jadohealth.2023.08.010.
赤坂ファミリークリニック院長/小児科医/MD,MPH/BCIA認定ニューロフィードバック認定医
NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。東京外国語大学卒、帝京大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科修了。医師になる前から同時通訳者として天皇陛下や歴代首相、米国大統領の通訳を務め、現在も医学系会議を中心に活動している。通訳の仕事をしながら2児をもうけたあと、40歳で医学部を受験し、医師に。卓越した英語力を武器に、海外の学術論文から日々最新の情報をアップデートしている。メディア出演も多く、わかりやすい説明と親しみやすい人柄で子どもはもちろん、その親からの信頼も厚い。著書に『医師が教える 子どもの食事 50の基本』(ダイヤモンド社)などがある。






