「子どもともっと遊んであげたい」と思っていても、家事や仕事で手が離せず、つい一人で遊ばせてしまう。そんなことは、どの家庭にもあるのではないだろうか。
しかし、こうした何気ない親子の過ごし方が、子どもの感情のコントロールにもかかわるという。では、「情緒不安定な子」につながりやすい親子の関わり方とは何なのか。『医師が教える 子どもの習慣50の基本』から一部抜粋してお届けする。(ダイヤモンド社書籍編集局)

「情緒不安定な子」になりがちな、親子の関わり方・ワースト1【小児科医が解説】Photo: Adobe Stock

子どもと遊べる時間は、一瞬で終わる

 ゆっくり子どもと向き合って遊ぶ時間はなかなか作れませんよね。

 しかし、家事をしている間、ほかの用事をしている間、「ちょっと待っててね」といっているうちに子どもはあっという間に大きくなって、巣立ってしまいます。

 赤ちゃんのとき、幼児期、学童期のタイミングに、子どもと1対1で過ごす時間をできるだけたくさん作って楽しむことをおすすめします。家事は最低限でよいと思います。

 2人の我が子が小さかったころ、私は同時通訳者としてバリバリ仕事をしていましたが、子どもとの1対1の時間は大切にしていました(子どもたちの受け止め方はわかりませんが)。大変でしたが、今思うと最高の時間でもありました。

どうして1対1で遊ぶのがいいの?

 親と子が1対1で向き合って遊ぶことは、子どもの脳機能を強化して情緒スキルを上げることが研究で示されています。

 米国エール大学の研究で、所得が低くおもちゃが買えなくても、紙や本、廃品から作った手作りおもちゃで、親と子が対面で遊ぶ時間が多いほうが、子どもの能力が上がることが報告されています(1)。

 米国ペンシルバニア州立大学の2024年の記事でも、複数の研究に基づいて、子どもと1対1での活動を推奨しています。

 米国小児科学会でも2018年から、「The Power of Play(遊びの力)」と題して、親が子どもと一緒に遊ぶことの重要性について述べていて、2025年版の「遊びの力~再確認」でも、親子で遊ぶことで、子どもの認知発達・情緒発達を促進する、脳を構造的に強化する、さまざまなストレスに打たれ強くなるなどの研究結果を改めて述べていました(2)。

何をして遊ぶのがいいの?

 1対1で遊ぶといっても、具体的に何をしたらよいか迷うかもしれません。ぜひ次を参考にしてみてください。

●お互いの顔・目を見ながらの活動
 とくに赤ちゃんのときはこれ。食事、着替え、おむつ替え、ゲーム、手遊びのときなど

●言葉遊び(しりとりなど)、数字遊び、音遊び

●ごっこ遊び
 とくにごっこ遊びは子どもの想像力を育てるのに有用。自閉傾向のある一部の子はごっこ遊びが苦手ですが、社会のなかで生きていくスキルを身につけるためにとても大事

●運動
 体操やボール遊びなど

●五感遊び
 一緒に花のにおいをかぐ、絵本を見る、音楽や雨・風といった自然の音を聴く、毛布や砂をはじめとした手触りの違うものを触るなど

●片方がリードしてもう片方が追う

●近所を散歩する
 家の近くの草花を見たり、近所の犬とふれあったりする

 ほかにも、料理や楽器演奏、お出かけ、絵を描く、ペットのお世話をするなど、子どもが興味を示すことならなんでもよいです。

 きょうだいがいる場合、それぞれと1対1で過ごせるよう工夫してみましょう。

1人遊びやスクリーン子守は、情緒発達が遅れる

 当クリニックに相談に来るご家族たちの話を聞いていると、子どもが1人遊びをしているとついそのままにしておいたり、スマホやタブレット、テレビに子守りをまかせてしまったりするケースにたくさん出合います。

 1人遊びやスクリーン子守りで、感情のコントロールやストレスへの対応が遅れることがわかっています。
ぜひぜひ子どもと対面で、目を合わせ遊んでください。

 前述のとおり、子どもと過ごせる時間はあっという間に終わります。「もっと一緒に遊んであげればよかった!」と後悔しないためにも、1対1で過ごす時間を意識してみてくださいね。

伊藤明子(いとう・みつこ)

赤坂ファミリークリニック院長/小児科医/MD,MPH/BCIA認定ニューロフィードバック認定医
NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。東京外国語大学卒、帝京大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科修了。医師になる前から同時通訳者として天皇陛下や歴代首相、米国大統領の通訳を務め、現在も医学系会議を中心に活動している。通訳の仕事をしながら2児をもうけたあと、40歳で医学部を受験し、医師に。卓越した英語力を武器に、海外の学術論文から日々最新の情報をアップデートしている。メディア出演も多く、わかりやすい説明と親しみやすい人柄で子どもはもちろん、その親からの信頼も厚い。著書に『医師が教える 子どもの食事 50の基本』(ダイヤモンド社)などがある。