「ドン・キホーテ」を運営するPPIHによる日本事業買収でトイザらスはどのように生まれ変わるのか? Photo:JIJI
10月1日、ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が、日本トイザらスとの事業譲渡契約を発表した。日本経済新聞によると、PPIHは国内全150店舗を引き継ぎ、取得総額は100億円規模になる可能性がある。事業譲渡は10月末に完了する見通しで、「トイザらス」の店名も当面は維持される方針だ。
少子化が進む日本で、なぜドンキは巨額を投じて玩具専門店を買うのか。全国の店舗網だけを見ていては、その狙いは見えてこない。ベンチャーキャピタルANOBAKAの創業者・長野泰和氏が、ブランド企業が陥る「イノベーションのジレンマ」と、玩具市場に残された成長余地を読み解く。(長野 泰和 ANOBAKA 代表取締役社長/パートナー、構成/ダイヤモンド・ライフ編集部)
「強いブランド」が
阻む変革
「トイザらス」の名前を残すことが、再生の正解とは限りません。私は、名前まで見直すくらいの変革を考えてもいいと思っています。
もちろん、長年親しまれてきたブランドには大きな価値があります。トイザらスと聞けば、子どもと一緒に出かけ、誕生日やクリスマスのプレゼントを選ぶ場所を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし、「子どものためのおもちゃ屋さん」という強いイメージは、新しい顧客を取り込む際には足かせにもなります。
伸びている市場があると分かっていても、売れている商品の棚を減らし、まだ売れるか分からない商品に入れ替えるのは簡単ではありません。既存顧客を失う不安もあります。
これは典型的な「イノベーションのジレンマ」です。既存事業が成功している企業ほど、その成功を支えた顧客や商品から離れにくい。トイザらスも、子ども向け玩具で築いた成功体験が強かったからこそ、大きく方向転換しづらかったのだと思います。
この買収を「有名なおもちゃ屋さんの経営者が変わっただけ」と捉えてはいけません。同じ看板で、同じ商品を、同じ相手に売るだけなら、成長の限界も変わらないからです。
100億円規模になる可能性があると報じられた買収に踏み切る以上、ドンキには、店舗とブランドを別の成長モデルに組み替えるシナリオがあると考えるのが自然です。







