実業家のイーロン・マスク氏巨額赤字企業のスペースXで熱狂を生むイーロン・マスクCEOの天才的な戦略とは Photo:AFP=時事

イーロン・マスク率いる「スペースX」が今夜、過去最大の283兆円規模で上場します。しかし巨額赤字の同社がこの強気な価格でIPOを強行する裏には、ライバルを蹴落とし「AI覇権」を握るマスクの天才的な戦略が隠されていました。これが引き金となる〈AIバブル崩壊〉のシナリオと、日本を襲う「2つの未来」に迫ります。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)

283兆円の超巨大上場
時価総額は適正か割高か

 天才起業家イーロン・マスクが経営するスペースXが今晩、アメリカのナスダック市場に上場します。資金調達規模は約12兆円(750億ドル)、時価総額は283兆円(1兆7700億ドル)と過去最大の新規上場です。上場直後には時価総額でメタやテスラを追い抜く巨大企業の誕生となります。

 そしてこの上場が、これからのわたしたちの生活にも大きな影響をもたらしそうです。

 この記事の前半ではスペースXの上場戦略についてわかりやすく解説したうえで、記事の後半ではその結果がわたしたちにどう影響するのかをお話しします。

 それでは今回の上場戦略について解説します。

 スペースXの公募価格、つまり上場直前の株価は135ドルに設定されました。市場では意見が分かれていますが、この株価はかなり割高です。

 なぜ割高な価格で上場するのかというと、スペースX株を買いたい人がたくさんいるからです。実際、日本でもSBI証券や楽天証券でスペースX株を買いたい人たちへのIPOの抽選が行われて、私の周囲の知人も結構な人数が応募しています。

 ではスペースX株の本当の価値はどれくらいなのでしょうか?後述しますが私が算定した適正株価は87ドルぐらいだと捉えています。根拠となる数字を見ていきましょう。