ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏とNTTの企業ロゴ企業価値を高めるAI戦略は、孫正義氏が率いるソフトバンクグループの「世界標準」かNTTの「小型国産」か Photo:JIJI, KYODO

生成AIへの巨額投資を加速するソフトバンクグループと、小型国産AI「tsuzumi」を軸に企業への実装を狙うNTT。最新決算では、ソフトバンクGが巨額の投資利益を計上する一方、NTTも過去最高の売上高を更新した。好調な両社だが、AIで企業価値を高める「勝ち筋」は大きく異なる。1年後、より大きな果実を手にするのはどちらか。独立系VC・ANOBAKA代表の長野泰和氏に聞いた。終盤まで1社の圧勝かと思われたが、土壇場で形勢が逆転する“重要な問い”を長野氏が投げかけた。(構成/ダイヤモンド・ライフ編集部)

「世界標準」か「安全な国産」か
成長性を分ける主戦場選び

 携帯電話市場で競うソフトバンクとNTTドコモだが、その背後にあるグループのAI戦略は対照的である。

 ソフトバンクグループはOpenAIへの巨額出資に加え、AIインフラ整備計画「スターゲート」に参画。国内ではOpenAIとの合弁会社を通じ、企業向けAI「Crystal intelligence」の展開を進めている。世界的な基盤モデルと計算資源に深く入り込み、その技術を日本企業へ広げる構えだ。

 一方、NTTグループは自社開発の国産LLM「tsuzumi 2」を軸に据える。小型で日本語処理に強く、機密データを外部に出しにくいオンプレミスやプライベートクラウドで利用できる点が売りである。いわばソフトバンク陣営が「世界標準との連携と規模」を取りに行くのに対し、NTT陣営は「国産・小型・安全性」で企業や行政の需要を取り込もうとしている。

 個人投資家が両社の成長性を比べる際、モデルの性能や投資額だけを見ても答えは出ない。AIのバリューチェーンのどこを押さえ、どれだけ大きな市場から継続収益を得られるのか。さらに巨額投資や海外企業依存のリスクをどう評価するのか。独立系VC、ANOBAKA代表の長野泰和氏に、1年後の企業価値を左右する比較軸を聞いた。