「部下が思い通りに動かない」「考えていることがわからない」……そう悩んだとき、相手を分析する前に真っ先に行うべき“ある作業”があります。書籍『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』著者が、兵法書『孫子』の教えを交えて解説。就活以来となる大人世代の「自己分析」が、なぜマネジメントの悩みを解消し、良好な関係を築く土台になるのか? 部下に向き合う前に知っておきたい秘訣をお届けします。

部下とうまくいかない上司の最悪な勘違い・ワースト1Photo: Adobe Stock

「なぜか部下とうまくいかない」管理職が、
相手を分析する前にやるべき「ある作業」

「部下の考えていることがわからない」「指示を出しても思い通りに動いてくれない」――管理職立場になれば、誰もが一度は部下との関係性に頭を悩ませるものです。

相手を理解しようと面談を重ねたり、コミュニケーション技法を学んだりする人は多いでしょう。しかし、良好な関係を築くためのヒントは、実は「相手」ではなく、別の場所にあるのかもしれません。

現代のビジネスにも通じる古の教え

組織におけるコミュニケーションやマネジメントを考えるうえで、非常に本質的な古典の一節があります。

古代中国の兵法書『孫子』には、「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」という有名な言葉があります。これは、敵(相手)だけでなく、自分自身の強みや弱みを把握することの重要性を説いたものです。
――『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』より

対人関係において、私たちはつい「相手がどういう人間か」ばかりに意識を向けがちです。それこそが、部下とうまくいかない上司の最悪な勘違いともいえます。

戦いにおいて敵と味方の双方を分析する必要があるのと同様に、マネジメントにおいても双方の理解が欠かせないのです。

これは、上司と部下のコミュニケーションにも通じる考え方です。他者に深く共感するためには、まず相手だけでなく「自分自身がどのような人間なのか」を理解することが欠かせません。
――『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』より

自分自身の思考の癖、感情のフィルター、あるいは「どんな言動にイライラしやすいか」といった傾向を知らなければ、相手の言葉や行動を客観的に捉えることはできません。

上司自身の「自己理解」が、相手を理解するための土台となるのです。

経験を積んだ大人にこそ必要な「自己分析」

では、具体的にどのようにして自分自身を理解していけばよいのでしょうか? その手法について、次のように提言されています。

いわば“自分の棚卸し”をしてみるのです。そのために有効なのは「自己分析」です。就職活動のときにやった方も多いでしょうが、社会経験を重ねたからこそ、改めて自分と向き合ってみる価値があります。
――『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』より

「自己分析」と聞くと、学生時代のおさらいのように感じるかもしれません。しかし、マネジャーとしてさまざまな成功や挫折、人間関係の葛藤を経験してきた今だからこそ、自分の強みや弱み、価値観の軸をクリアに再認識できます。

自分の状況や感情を俯瞰できるようになれば、部下の言動に過剰に反応することなく、心のゆとりを持って向き合えるようになります。チームの関係性をアップデートするために、まずは「自分自身の棚卸し」から始めてみてはいかがでしょうか。