日本唯一の専門醸造設備で造る発酵ジンジャーエールで社会貢献も実現

江戸時代より新田開発が行われ、首都圏屈指の大規模緑地帯である「見沼田んぼ」が位置するさいたま市見沼区。ここでアジア初の本格的な醸造設備を有し、ノンアルコールの「発酵ジンジャーエール」の製造・販売を手がける企業がある。しょうがのむしだ。

 世界的にはジンジャービアと呼ばれているが、「ビールや酒類と誤解されないよう、日本人になじみやすい呼称を独自に考えました」。そう語るのは、同社を2020年に創業し、ちょんまげ姿がトレードマークの代表取締役・周東孝一氏。発酵ジンジャーエールは、酵母を使い発酵することで、主役となるショウガのピリリとした辛味の他、酵母由来の酸や香りなど、さまざまな味わいを楽しめる。一般的な清涼飲料水とは一線を画す、唯一無二の発酵炭酸ドリンクだ。

日本唯一の専門醸造設備で造る発酵ジンジャーエールで社会貢献も実現代表取締役・周東孝一氏

 日本ではまだなじみの薄い商品を手がけるに至ったのには、大きく二つの契機があった。一つが周東氏の妻の実家である台湾に行った際、「農家にもらったものの、使い道に困っているショウガが大量にあったことでした」と周東氏。以前、バーで飲んだことのあったジンジャービアの存在を思い出し、インターネットのレシピを参考に造り、親族に振る舞ったところ大好評を得る。

 二つ目が、帰国後、さいたま市の自宅に程近い、見沼たんぼで増え続ける休耕地の存在だ。かつてはショウガ栽培が盛んで、江戸に出荷していた歴史を知り、「この地で再びショウガ栽培を活性化し、地元のショウガを使ったジンジャービアを造ることで、ビジネスとして休耕地問題を解決できればという思いで、試作に取り組むことになりました」と周東氏。

クラウドファンディングで
得た資金で醸造所を設立

 発酵・醸造については独学で学ぶ他、地元のクラフトビール醸造所などの協力を経て、醸造技術やレシピを模索していく。その傍ら、19年、起業のアイデアをさいたま市のビジネスプランコンテストに応募したところ、見事、優勝を果たす。