「毎日、仕事や家事に追われて余裕がない」「他人の些細な言動にイライラしてしまう」。忙しい現代社会では、幸福感どころか、ストレスの方が強く感じられるかもしれません。しかし、同じように忙しくても毎日に幸福感を感じる人と、そうでない人がいます。では、その違いはどこにあるのでしょうか。ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司氏は著書『幸せの人類史 なぜ「幸福」は人類を「不幸」にしたのか』の中で、膨大な幸福学の研究から明らかになった、「本当に幸せな人の共通点」について語っています。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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幸せを感じられない人の共通点
毎日、会議や「やることリスト」がぎちぎちに詰まっている。
電車の中や1日の終わりに、スマホばかり見て疲れてしまう。
他人のちょっとした言動にイラついたり、深く傷ついてしまう。
こんなことに心当たりはないだろうか。
AIやSNSの登場は、私たちの生活を便利にした一方で、「やることリスト」は増え続け、気づけば1日の大半をスマホに奪われるなど、新たなストレスを生み出しているとも言えるかもしれない。
その結果、私たちはつい「目の前のこと」や「自分のこと」ばかりに集中せざるを得ない毎日を送っている。
しかし、ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司氏は、このような自分の目の前のことばかりに注意が向いた状態、つまり「視野が狭まっている状態」は、不幸せな人の特徴だと語る。
ストレスが強いとき、人の注意は狭くなり、問題をより大きく感じやすくなることが知られています。その結果、不安や孤独感が強まり、世界が敵対的に見えることも少なくありません。視野が狭くなると、世界が心理的に安全ではないと感じてしまうということです。
――『幸せの人類史 なぜ「幸福」は人類を「不幸」にしたのか』より
それでは、反対に「幸せな人」の特徴とは、何なのだろうか。
幸せな人は「視野が広い」
しかし、俯瞰することができると、物事の意味が理解できたり、他者への理解が深まったりします。その結果、心は穏やかになり、幸福感も高まりやすいのでしょう。この直感は、実は多くの心理学研究でも支持されています。
特に有名なのが、ポジティブ心理学の研究者であるバーバラ・フレドリクソンが提唱した「拡張―形成理論(Broaden-and-Build Theory)」です。フレドリクソンは、ポジティブ感情の重要な働きは、人の思考と行動のレパートリーを広げること(broaden)にあると説明しています。喜び、興味、愛、安らぎといった感情は、人を探索的で開かれた状態にします。新しいことに挑戦したり、人と関わったり、学んだりする意欲が自然と生まれるのです。
――『幸せの人類史 なぜ「幸福」は人類を「不幸」にしたのか』より
目の前のことだけにとらわれない広い視野を持てるとき、人は穏やかな心を持てる。
さらに、そのポジティブな感情がまた人の思考や行動の範囲を広げ、さらに広い視野を持つことにつながる、好循環が生まれるのだ。
つまり広い視野を持つことは、今この瞬間の幸福感を高めるだけでなく、人生全体においても長期的な幸福の好循環を生み出す。
目の前の画面から視線を上げる
「幸せな人生をおくる人」の共通点、それは「視野が広いこと」だ。
現代社会はすさまじく忙しく、つい目の前のことに注意を奪われがちだ。
だからこそ、
目の前の画面から視線を上げ、深呼吸する。
行ったことのない場所に出掛けてみる。
自分以外の誰かのための、小さな行動をしてみる。
そんなちょっとしたことが、「視野が広がる」感覚をもたらしてくれるかもしれない。
視野を広げるとは、必ずしも何か大きな行動をしなくてはならないということではない。
生活のなかで、少しでも「目の前のことばかりに集中してしまう状態」から自分を解放することが、日常に幸福感を取り戻すヒントになるはずだ。






