ノーベル賞の登竜門・ラスカー賞受賞で話題! 睡眠学の世界的権威・柳沢正史教授が、最新研究をもとにやさしく解説した著書『世界最高の睡眠学が教える 睡眠の正解』が話題です。巷にあふれる睡眠の常識・思い込みの真偽を解き明かしつつ、「眠れない」「起きられない」「寝ても疲れがとれない」といった悩みの解消法を提唱します。あなたが本来の自分を取り戻し、よりよい明日を迎える睡眠のヒントをお届けします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・中村直子)
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トップ校に通う生徒たちは、よく眠っている
勉強の成績がよい子ほど睡眠を大切にしている。これは私自身が目の当たりにしてきた事実でもあります。
私の研究室がある筑波大学の睡眠医科学研究機構には、毎年たくさんの高校生が見学に訪れます。そこで講義のたびに生徒たちへ「平日は何時間眠っていますか?」と聞くようにしています。
すると、答えは「5~6時間」に集中します。
子どもに必要な睡眠時間は大人よりも多いので、それでは睡眠時間が圧倒的に足りません。これが、日本の進学校に通う高校生たちの平均的な姿です。睡眠時間が足りていないので、私の講義中にも、せっかく見学に来たのにこっくりこっくりと舟をこぎはじめる生徒が必ずいます。
ただし、すべての高校で同じ反応が返ってきたわけではありません。
以前、神戸の灘高校と、筑波大学附属駒場高校の生徒たちが、立てつづけに研究室へ見学に来たことがあります。どちらも、日本を代表するトップ進学校です。
私はいつものように、彼らにもふだんの睡眠時間を聞いてみました。すると、他の高校とはまったく違う反応が返ってきたのです。
「5~6時間」と聞いても、ほとんど手が挙がらない。
ところが「7~8時間」になると、あちこちで手が挙がりはじめる。
「8時間以上」と答える生徒も少なくありませんでした。
他の高校では、「5~6時間睡眠」が当たり前のように見えていたのに、彼らのあいだでは、むしろ十分に眠っている生徒のほうが多かったのです。つまり、彼らはかなり適正に近い睡眠時間を確保していました。
なぜ、トップクラスの進学校の生徒たちは、これだけきちんと眠っているのでしょうか。おそらく彼らは、どこかの段階で「寝ないと、かえって学習効率が落ちる、覚えたことが頭に残らない、本番で力を出しきれない」と気づいたのだと思います。
だから彼らは、睡眠を削ってまで机に向かうのではなく、十分な睡眠を確保したうえで、限られた時間のなかで集中して勉強する。そのほうが効率のいいことを、経験的にわかっているのでしょう。
大人も子どもも、記憶のメカニズムは同じ
ここまでの話は、子育て中の親御さんにとって、わが子に直接関わる話だったかもしれません。しかし、これは子どもだけの話ではありません。
大人であっても、新しい資格を取ろうとしているとき、語学を学んでいるとき、仕事で新しいスキルを身につけようとしているとき……。あなたの脳は、子どもとまったく同じメカニズムで動いています。日中に学んだことは、夜の睡眠中に整理され、定着し、明日のあなたの力に変わっていく。この工程を削れば、いくら机に向かっても、知識は積み上がりません。
夜更かし気味のお子さんの成績が心配なら、あるいはあなた自身が「努力しているのに結果が出ない」と感じているなら……。まずは、足りない睡眠時間を取り戻すところから始めてください。
眠ることは、学ぶことと一体です。眠ることを、学ぶことと同じくらい大切にする。それだけで、大人も子どもも、本来の力を発揮できるようになります。








