完璧を求めすぎて仕事を終えられない。やらなければいけないことを先延ばししてしまう。そんなときの対処法を、『おい、とりあえず終わらせろ』の著者、nwiizo(ぬうぃぞう)氏が伝えます。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

おい、とりあえず終わらせろいい感じにPhoto: Adobe Stock

時間をかけてもすれ違いは埋まらない

「この資料、いい感じにまとめておいて」

 上司にそう頼まれて、「はい」と答える。次の会議も迫っているし、ひとまず引き受けて、空いた時間に進めようと思う。

 ところが、いざ資料を開くと手が止まります。

 文章を短くすればいいのか。グラフを追加した方がいいのか。そもそも、誰が、何のために読む資料なのか。

 聞き返そうにも、上司は別の会議中。「まずは自分なりにやってみよう」と手を動かしているうちに、夕方になってしまう。

 ほかにも仕事はある。早く終わらせたいのに、どこまでやれば出していいのかわからない。そんな経験はないでしょうか。

 反対に、自分が「いい感じに」と頼んだ資料を見て、「そういうことじゃなかったんだけど」と思ったこともあるかもしれません。

 頼んだ側と、引き受けた側。それぞれが別の「いい感じ」を思い浮かべていたら、時間をかけても期待はすれ違ってしまいます。

「いい感じ」を、終わりがわかる言葉に変える

 では、「いい感じ」とは何でしょうか。

 見る人によって感じ方は違います。自分の感じ方も日によって変わります。昨日は十分だと思った資料が、今日は物足りなく見えることもあるでしょう。

 だから、「いい感じ」をタスクの終了条件に書き換える必要があります。

「資料を作る」よりも「10ページのスライドを作る」。「リサーチする」よりも「競合3社の価格を調べて、スプレッドシートにまとめる」。

 こうすれば、少なくとも作業の範囲が見えてきます。ただ、ページ数だけ決めても、中身をどこまで整えるかで迷うことはあります。

 そこで明確にしたいのが、期日・分量・品質の3つです。

 いつまでに、どの範囲を、どの水準まで仕上げるか。この3つが揃うほど、「終わったかどうか」を判断しやすくなります。

 私の本業であるソフトウェアの世界にも、終わりが見えにくい仕事があります。「リファクタリング」と呼ばれる、プログラムの動作を変えずに内部の構造を整える作業です。

 どこまでやれば終わりなのか、自分でもわからない。気づけば、関係のないところまで「ついでに」直していて、土曜の夜が溶けてしまう。

 そこで、終了条件をこう言葉にします。

「今日中に、この部分だけを対象に、動作確認が全部通る状態を保ったまま、確認する人が30分で読める変更量にする」

 期日は「今日中」。分量は「この部分だけ。他には触らない」。品質は「動作確認が通る」。

 条件が決まると、問いが変わります。「どこまでやるか」ではなく、「どこで止めるか」を考えられるようになるのです。

終了条件は、ひとりで決めずに確認する

 冒頭の「いい感じにまとめておいて」も、同じです。

 たとえば、「明日の15時までに、競合3社の価格を1枚にまとめ、会議で価格差を比較できる状態にする」。

 こう書けば、調べる対象も、資料に必要な情報も絞りやすくなります。

 ただし、自分で具体化するだけでは、相手の期待とのズレが残るかもしれません。終了条件は、相手と確認してこそ役立ちます。

「明日の会議で価格を比較できるよう、3社の情報を1枚にまとめる、という理解で合っていますか?」

 聞き返すのが気になるなら、こんなふうに自分の理解を1行にして送ってみる。相手も、どこが合っていて、どこを変えてほしいか答えやすくなります。

 次に曖昧な依頼を受けたら、手を動かす前に「いつまでに、どの範囲を、どの水準まで」を確認する。

 そのひと手間が、終わりの見えない作業を減らしてくれます。