「わからないことがあれば、すぐにAIに聞く」「面倒な作業は、できるだけAIに任せたい」。そんな人が増えているのではないでしょうか。AIを使えば、調べものや勉強にかかる時間を大幅に短縮できます。しかし、便利だからといって何でもAIに頼っていると、かえって自分の能力を低下させてしまうこともあります。では、「頭のいい人」がAIに絶対に任せないこととは何なのでしょうか。東大卒業後、日本マクドナルドCMO、Facebook Japan初代社長などを歴任。51歳から司法試験に挑戦し、57歳で合格した岩下充志氏の著書『夢をかなえる 勉強の地図』から、そのヒントを紹介します。

頭のいい人が「AIに絶対に任せないこと」・ベスト1Photo: Adobe Stock

AIは最強の伴走者

現代の学習において避けては通れない、AIとの向き合い方について言及しておきたいと思います。
AIの性能が加速度的に向上し、生活に浸透してきている現在、勉強の実行においてもAIを使うことは避けられません。むしろ、AIを活用することを前提にして、「いかに上手く使うか」を考える必要があります。

と言っても、私自身、司法試験の勉強中はAIを使っていませんでした。ChatGPTのGPT-4の公開が2023年であり、司法試験が終わるまでは他の新しいことを学ぶのに時間を使いたくないと思っていたのです。
しかし、試験に合格した後にAIを使い始め、「最初からAIを使っていたら」と後悔しました。あと1~2年は早く合格できていたかもしれないと感じたからです。

学習をもっと効率化できる

当時の私は、仮に「刑事訴訟で裁判長が『釈明』を求める根拠条文は何か」といった問いにぶつかったとき、それひとつを調べるのに30分ほどの時間を費やしていました。六法を開き、ときに参考書やネットの判例データベースでも確認して、ようやく解決できていたのです。

一方でAIは、解答を瞬時に提示してくれます。もちろん提示された情報に誤りがないか六法で確認をしますが、それを含めても、ものの5分で解決に至ります。
問いにぶつかっては調べて乗り越える作業が、次から次へと発生するのが司法試験の勉強ですから、そのすべてがこれほどショートカットされたなら、年単位で合格が早まったという仮説も決して大げさな話ではないでしょう。

さらに言えば、「計画の立て方」や「勉強の効率化のアドバイス」など、勉強全体のプロセスにおいても相談できますから、もっともっと早い合格のルートが浮かび上がっていたかもしれません。
そう考えれば、AIが学習を効率化し、成功へ導いてくれることは疑うべくもない。AIは、勉強における頼もしい伴走者だと考えるべきです。

「自分の頭」で考えることを忘れない

ただし、AIを使用する上でのリスクも必ず覚えておかなくてはなりません。
最大の罠は、すべてAIに頼り切りになって、自分の頭で物事を考えなくなるリスクです。

AIがまとめた綺麗な答えを読むだけで時間は経過しますから、実際には何も定着していないのに「勉強した気」「わかったつもり」になりやすい。
そんな表面的な学習を続けていれば、いずれ知力が衰退していくことは明らかです。使わない筋肉は、おそろしいまでのスピードで衰えるものです。AIはあくまでも伴走者であることを忘れないようにしましょう。

加えて、AIは何事も瞬時に答えてくれるとはいえ、ハルシネーション(もっともらしい嘘を出力する現象)も起きるため、AIの解答をすべて鵜呑みにしていると、いつの間にか誤った知識を身に付けてしまう危険もあります。

ですから、AIを使うときは、最初から全面的に頼り切るのではなく、まずは自分の頭で考え、問いと格闘するクセを付けたり、他のメディア(書籍や信頼できるウェブサイトなど)を駆使して情報をダブルチェック、トリプルチェックすることを心がけるべきです。