チャットでのやり取りが当たり前になった現代では「レスポンスのスピード」が、仕事を進めるうえでの大きな要素になっている。たかだか「チャットの返信」だが、それはただの業務ではなく、そこには仕事の本質も隠れているのではないだろうか。本記事では、リクルートやマッキンゼーで活躍し、現在は、国内トップクラスの不動産エージェント企業の創業者として活躍している江口亮介氏の著書『野性の仕事術 泥臭さと合理性を両立するための全知見』より、返信から考える仕事の本質を特別に一部抜粋・編集し、お届けします。
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この記事でわかること
・「チャットの返信」でわかる仕事の質
・リクルート、マッキンゼー出身経営者のチャットコミュニケーション術
即レスは自分の処理能力の速さを表現できる
「返信はまとめて行い、深い仕事に集中すべきだ」という生産性論を耳にするたびに、私は首をかしげる。なぜなら、私が出会ってきた“本当に成果を出すビジネスパーソン”で、レスポンスが遅い人を1人として見たことがないからだ。
デザイナーやエンジニアのように長時間の没頭を要する専門職は別として、社内外とのコミュニケーションを担う総合職が「即レス」を習慣化していない時点で、すでに仕事のボールはあちらこちらに散乱していると考えるべきだろう。
第一に、即レスは情報処理能力の証明だ。受信したメッセージを読み解き、要点を抽出し、必要最小限の言葉で返す。必要に応じてAIに文章は下書きしてもらう。もしくは音声入力でキーボード入力は極力減らす。この一連の動作は、筋トレのようにやればやるほどスピードと精度が上がる。
逆に「あとでまとめて返そう」と保留にする人は、着手のたびに文脈を思い出す“再起動コスト”を払い続けることになり、脳のキャッシュはますます圧迫される。やる気や能力の問題ではなく、シンプルに計算資源の使い方が非効率なのだ。
即レスの人が信頼されるメカニズム
第二に、即レスは周囲の時間を解放する。あなたの返信が早ければ、他人の仕事は進み、プロジェクト全体のリードタイムは短くなっていく。多くの職場において「あの人がいるといつも仕事が進む」と言われるような人は、この即レスによるメカニズムを理解している。
たとえば、日程調整のメールにおいても、「日程調整をお願いできますか?」→「はいぜひよろしくお願いします。」→「◯日はいかがでしょうか?」→「◯日はNGです」という会話をしているようでは、相手が再提案し、あなたが再度確認し……とラリーは無限に続く。
「ご提案ありがとうございます。◯日は都合が悪いのですが、代わりに△日と□日は空いています」とワンターンで返せば、最短2往復で日程は確定する。もしくは、日程調整用のサービス(TimeRexやSpirなど)を使う。即レスとは、単に早く返す行為ではなく、次のアクションを“セットアップ済み”で渡すことを意味する。



