「クビにならない程度にほどほどに働く」――そんなネガティブな意味で語られがちな「静かな退職」ですが、書籍『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』の著者がこの風潮を分析すると、意外な真実が見えてきました。雇う側も経験した精神科医だからこそ語れる、仕事と「生きがい」の理想的な距離感とは? 毎日無理をして息切れしそうなあなたへ、心がスッと軽くなる新しい働き方のヒントをお届けします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・斎藤順)
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話題の言葉について
皆さんは「静かな退職」という言葉をご存じでしょうか? もちろん医学的な用語ではなく、ニュースなどでメディアが取り上げた言葉です。
退職という名前がついていますが、実際に会社を辞めるわけではありません。クビにならない程度の最小限の労力で、無理をせずにほどほどに仕事をするスタイルのことを、まことしやかに「静かな退職」と呼んでいるのです。
世間のイメージと、私の率直な感想
この言葉は「本当はもっと働いてほしいのに、最低限のことしかしない」といったやる気のなさに対するネガティブな意味合いや、「最近の若い人はやる気が低下している」といった文脈で語られることが多い気がします。
しかし、よくよく考えてみると、とても理にかなった働き方というか、むしろこれが普通なのではないかと私は思うのです。
就業規則に定められた最低限の業務はこなしているわけですから、基準はきちんと満たしています。それ以上に頑張りすぎない、無理をしないという働き方は、むしろ正常だと言えます。
世の中には働きすぎてしまう人もいますし、最小限すらやらない人もいますが、そうではなく「最低限のことをほどほどにやる」。今までのようにガッツを見せてまで働かないというのは、決して悪いことではないと思います。
なぜネガティブに語られがちなのか?
では、なぜネガティブな文脈で語られがちなのでしょうか? 私も雇う側の立場だったことがあるのでわかりますが、雇う側としてはやはり「もっと頑張ってほしい」「もっと気合いを入れろ」と思ってしまうものなのです。
「職場のことはどうでもいいのか」と感じる人たちの気持ちを代弁して、「静かな退職=ネガティブ」「最近の頑張らない風潮への批判」というニュアンスが出てきているのでしょう。
しかし冷静になってみれば、求められている業務をしっかりこなし、それ以上の無理をしないというのは普通の姿勢です。この状況に対して、わざわざ「静かな退職」などという大袈裟な言葉をつけてしまうあたりに、未だに「仕事は頑張らなければいけない」「期待以上のものを返さなければいけない」という価値観が社会全体に残っているのだなと感じます。



