雇う側から見てきた「あるある」

ですから、私はこのスタンスで構わないと思っています。先ほど雇う側の立場にも触れましたが、私の経験上、入職する時に「ものすごく気合いを入れて頑張ります!」と熱く語る人ほど、すぐに辞めてしまうケースが結構多いのです。

そういう人は、自分自身の働き方だけでなく、職場に対する期待も大きすぎます。その期待が大きい分、現実の職場が思い描いていた通りではなかった時にズレが生じ、限界が来て辞めてしまったり、頑張りすぎて息切れしてしまったりするのです。

「ここでぜひ働かせてください!」と燃え上がっているのはアニメやフィクションの世界だから成り立つのであって、現実では「私はこういう感じでやります」と淡々と、自分が思っていることやしたいことを素直に具体化できる人のほうが、結局は長続きする印象があります。

職場で本当にありがたい存在とは?

昨今の事情から言っても、ものすごく気合いを入れて来てくれてもすぐに辞めてしまう人よりは、淡々と最小限しか働かなくても、言われたことはしっかりやってくれて長く居続けてくれる人のほうが、職場としてはありがたいものです。

雇う側からしても、無理をせず「期待されていることはやりますが、それ以上はやりません」くらいのスタンスで長く働いてくれる人のほうが良い存在なのです。

仕事に求めるもの、求めてはいけないもの

こうした話をすると、「それでは仕事がつまらないのではないか」という反論もあるかもしれません。以前あるテレビ番組に出演した際、厚生労働省のアンケート結果が紹介されたのですが、「労働に対して生きがいを求める人」の割合がすごく減っているというデータがありました。

私はこれに驚きませんでした。逆に言えば、仕事に生きがいを求めてしまうと、生きがいを感じられない仕事だった時に気持ちがついていかなくなり、続けられなくなってしまうからです。

最初から「仕事と生きがいは別」と考えておいて、たまたま一緒だったらとてもラッキーだね、というくらいのニュアンスが良いと思います。

日常を続けていくためのスタンス

「そんなに好きな仕事でもないし、職場への不満もいっぱいあるけれど、生きていくためにはしょうがないよね」と考え、無理をしないポジションにいれば、多少の不満があっても我慢して仕事を続けることができます。私はこちらのほうが理想に近いと思っています。

本来、仕事とやりがいや生きがいは別々のものです。仕事に対して過剰な期待をしてしまうと、それが不安や不満、ストレスを生み、結果的に仕事が続けられなくなってしまいます。仕事というのは晴れの舞台ではなく、日々の「日常」です。日常である以上、ぼちぼちと続けられることが何より大切です。

「静かな退職」とは言いますが、これはごく当たり前のことであり、むしろ目指していい働き方なのではないかと思うのです。