嫌いな人の「良いところ」を無理やり探す。これは、相手を好きになるためのポジティブ思考ではありません。むしろ丁寧に美点を探していくと、不思議なことに「ここを変えれば、もっと良くなる」という改善点まで見えるようになります。坪田信貴さんが考える、人を一面的に決めつけず、その人の力を引き出すための「見方」とは。本稿は、坪田信貴著『育てる。』(ダイヤモンド社)から一部を抜粋して紹介します。
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「嫌いな人」の良いところを20個探すと、何が起きるのか
この連載で、僕は「大嫌いな人の良いところを20個、無理やり探してみてください」という話をしました。
『ビリギャル』のさやかちゃんにも、どうしても好きになれない同級生がいました。
「私の真似ばかりしてくる」
「本当に嫌なんだよね」
と、いつも僕に愚痴を言っていたので、
「じゃあ、その子の良いところを20個探してきて。それが宿題ね」
と言ったのです。
最初は、
「良いところなんて1個もない」
と言っていたさやかちゃんでしたが、翌日、400字詰めの原稿用紙に20個以上書いてきました。
そして教室に入るなり、
「先生! ○○ちゃん、超いい子だった!」
と言ったのです。
相手は、一晩で別人になったわけではありません。変わったのは、さやかちゃんの「見る場所」でした。
人は、「嫌な人だ」と思えば、嫌なところばかりを探します。逆に「良いところを20個見つけよう」と決めれば、それまで見落としていた部分が見えるようになる。
でも、この話をすると、ときどき、
「じゃあ、相手の悪いところは全部見ないことにするんですか?」
と思われることがあります。もちろん、そんなことではありません。
良いところを探すと、なぜ「改善点」まで見えてくるのか
悪い行為まで肯定する必要はありません。間違っていることを、見て見ぬふりする必要もありません。ただ、その人を「嫌な人」「ダメな人」と一つの言葉だけで切り捨てないことです。
不思議なことに、良いところを20個探そうとして丁寧に観察していると、改善したほうが良い部分も見えてきます。
たとえば、目の前にジャスミンティーのペットボトルがあるとします。
「透明なので中身が見える」
「軽くて持ち運びやすい」
「キャップを閉め直せる」
「片手で持てる」
と良いところを探していく。すると同時に、
「ジャスミンティーを表す色として、キャップが薄い青で本当に良いのだろうか」
「もっと香りや爽やかさが伝わる色があるのではないか」
という疑問も生まれます。良いところを見ようとすることは、無条件に絶賛することではありません。細かく見ることです。
「話が長い人」には、本当に長所がないのか
これは人も同じです。「話が長い」という人は、裏を返せば、伝えたいことや知識が豊富なのかもしれません。だったら、「話す内容を最初に三つに整理できたら、もっと伝わりやすくなる」と考えられます。
「細かすぎる」という人は、ミスや違和感によく気づける人かもしれません。だったら、「最終チェックを担当してもらえば、大きな力になる」と考えられます。
「なかなか決められない」という人は、さまざまな可能性やリスクを慎重に見ているのかもしれません。だったら、リスクを洗い出す役割を任せればよい。
つまり、美点を探すことは、何でも長所に言い換えて終わることではありません。相手を以前より細かく見ることなのです。
そこまで見えるようになると、「何がダメか」だけではなく、どこを伸ばせば、この人はもっと力を発揮できるのかまで考えられるようになります。








