勉強や友人関係、習い事など、子どもたちも日々さまざまなストレスを抱えている。とくに思春期を迎えるころになると、親には悩みを打ち明けなくなり、「何かしてあげたいけれど、どうすればいいかわからない」と感じることもあるのではないだろうか。
じつは、ある身近な「飲み物」を親子で一緒に作って飲むことで、子どものストレスが軽減する可能性があるという。小児科医が12歳の子どもたちを対象に行った研究でも、興味深い結果が得られた。いったい、どんな飲み物なのだろうか。『医師が教える 子どもの習慣50の基本』から一部抜粋してお届けする。(ダイヤモンド社書籍編集局)

子どものストレスが軽減する「飲み物」とは?【小児科医が解説】Photo: Adobe Stock

一緒にココアを作って飲むのが良い

 私が行った研究(57)で、都内近郊の12歳の男女に、親御さんと一緒にココアドリンクを作って飲んだグループと、ふだんどおりに過ごすグループで、主観的ストレス度が変化するかどうかを調べました。

 都内近郊の12歳の子どもたちは、中学受験を控えている子も多く、また思春期を迎える年齢でもあり、とくにストレスを感じやすい時期です。

 この子たちに「ランダム化単盲化並行群間比較試験」を行いました。
 つまり、応募のあった子どもたちをランダムに2つのグループに分け、次のように過ごしてもらいました。

●Aグループ
 毎日、親と一緒に決まった量のココアを水かお湯で溶かして飲んでもらう

●Bグループ
 ココア入りの飲み物や食べ物は摂らずに過ごしてもらう

 期間は1か月、38人で行い、そのビフォーとアフターで、体組成(身長、体重など)の測定、血液検査、主観的ストレス評価の心理検査をしました。

 その結果、ココアドリンクを飲んだAグループは、ストレス度が統計学的に有意に下がっていました。

 また、血液検査でDGLAという多価不飽和脂肪酸の成分がココアドリンクを飲んだAグループで上がっていました。DGLAには炎症を抑える作用があります。
 この成分が高いほうがうつになりにくいという研究もあります。

 ココアにはカカオ・ポリフェノールという強い抗酸化物質が含まれているので、その働きによる抗炎症作用も考えられました。
 うつやマイナス思考は脳に炎症が起きている状態なので、炎症を抑えることはストレス軽減につながるといえます。

そして、親子の時間を過ごすことが大切

 もう1つ、Aグループの子どもたちは、毎日親御さんと一緒にドリンクを作ることで、親子の時間を過ごしていました。これもストレス緩和につながったのではないかと考えています。

 もちろん、ココアドリンクでなくてもかまいません。ココア成分によるメリットは得られませんが、親子で一緒に何かを作ること自体が、大変よい影響を与えてくれます。

ココアドリンクの作り方

材料
アイスココア
・森永ミルクココアのパウダー……大さじ山盛り1杯
・少量のお湯
・水、または牛乳……120ml
・氷

ホットココア
・森永ミルクココアのパウダー……大さじ山盛り1杯
・少量のお湯
・お湯、または温めた牛乳……120ml

※臨床研究では、牛乳は使わずに、水かお湯で作りました。

作り方
①ココアパウダーを少量のお湯(大さじ2~3杯)で、ダマにならないように溶く。

②アイスの場合は、そこに水または牛乳(アーモンドミルク、オーツミルクでもOK)を入れて混ぜ、お好みで氷を入れる。

③ホットの場合は、そこにお湯または温めた牛乳(アーモンドミルク、オーツミルクでもOK)を入れて混ぜる。無糖のココアパウダーを使う場合は、小さじ1杯程度の砂糖を足してもOK。

 ただ牛乳、アーモンドミルク、オーツミルクにほんのり甘味があるので、砂糖を足さなくてもおいしくいただけますよ。

 ストレスの軽減になるドリンクを一緒に作ることで、親子の時間の確保にもなります。一石二鳥な習慣を、ぜひ取り入れていきたいですね。

57 Inagaki H, Yamamoto T, Matsui Y, Itoh M. Cocoa relieves children’s stress: Randomized parallel-group comparison study. Arch Clin Trials. 2023;3(2):1-12.
伊藤明子(いとう・みつこ)

赤坂ファミリークリニック院長/小児科医/MD,MPH/BCIA認定ニューロフィードバック認定医
NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。東京外国語大学卒、帝京大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科修了。医師になる前から同時通訳者として天皇陛下や歴代首相、米国大統領の通訳を務め、現在も医学系会議を中心に活動している。通訳の仕事をしながら2児をもうけたあと、40歳で医学部を受験し、医師に。卓越した英語力を武器に、海外の学術論文から日々最新の情報をアップデートしている。メディア出演も多く、わかりやすい説明と親しみやすい人柄で子どもはもちろん、その親からの信頼も厚い。著書に『医師が教える 子どもの食事 50の基本』(ダイヤモンド社)などがある。