部下や後輩、友人や子どもから相談されることは、年齢を重ねれば自然と増えるものだと思っていた。ところが、経験を積んだはずなのに、気づけば相談に来る人が減っている。頼りにされていた実感が、少しずつ薄れていく。そんな寂しさを感じている人にぜひ読んでほしいのが『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉著)だ。年齢を重ねても「また相談したい」と思われる人が、話を聞くときに何を意識しているのか。本書から引用しつつ紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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経験を積んだのに、相談されなくなる
「あの人に話すと、だいたい答えが決まってるんだよね」
「相談というより、指導される感じ」
「親に話すと、結局お説教になるんだよね」
年齢を重ねるにつれて、周りからそんなふうに思われてしまう人がいる。
本人は、相談されればきちんと応えるつもりでいる。
経験も知識も、若い頃よりずっと増えた。
それなのに、なぜか人が相談に来なくなる。
その差は、話す力ではなく、聞き方にあることが多い。
また相談したくなる人は「学ぼう」として聞いている
本書は、知的で慕われる人の聞き方について、こう書いている。
私は学生時代の恩師に「もし今、“人生がそれほどうまくいっていない”と思うなら、人の話をよく聞くだけで、人生は好転するよ」と教わりました。
知的で慕われている人たちは、人の話をよく聞いています。
私が今までお会いしてきた経営者の中にはひと周り以上年下の私から“学ぼう”と思って話を聞いてくれる人もいました。
――『頭のいい人が話す前に考えていること』より
年齢や立場が上になるほど、人は「教える側」に回りがちだ。
相談されれば、自分の経験から答えを出してあげたくなる。
しかし、本書によれば、本当に慕われる人は逆だった。
年下の相手からでも、何かを学ぼうとして話を聞く。
その根底には、話し手への敬意がある。
敬意をもって聞いてもらえると、話す側は「聞いてもらっている」というより「対話している」と感じる。
そこから、より深い信頼が生まれるのだという。
慕われる人がしている5つの聞き方
本書は、相手が何を言いたいのかを真剣に考えている聞き手の態度として、次の5つを挙げている。
1つめは、肯定も否定もしないこと。安易に「わかった」と言っても、「違う」と否定しても嫌われる。
2つめは、相手を評価しないこと。良い悪いではなく、相手がそう思っているというだけだと割り切る。
3つめは、意見を安易に言わないこと。「どう思う?」と聞かれても、すぐに自分の意見やアドバイスを口にしない。
4つめは、話が途切れたら、むしろ沈黙すること。沈黙を怖がらず、相手が話し出すのを待つ。
5つめは、自分の好奇心を総動員すること。相手の話がつまらないと感じるなら、それは自分の好奇心が足りないからだ。
そして、相手の話を最後まで聞き終えたら、「相手は私に何を言ってほしいのだろうか」と考える。
褒めてほしいのか、共感してほしいのか、解決策が欲しいのか。
ちゃんと聞けていれば、その答えは自然とわかるはずだ。
「あなたはどう思っているの?」
本書には、著者が若手時代、上司に相談したときのエピソードも登場する。
ロジカルシンキングの定義がうまく書けずに困っていた著者に、上司はまずこう聞き返した。
「安達さんはどう思っているの?」
著者の考えを聞いたうえで、上司は周りの人も巻き込みながら一緒に定義を考えてくれたという。
人が「相談してよかった」と思うのは、正しい答えを教えてもらったときではない。
一緒に考えて、一緒に答えにたどり着いたときだ。年齢を重ねるほど、答えを出すのは簡単になる。
だからこそ、答える前に相手から学ぶつもりで聞いてみる。
それが、いくつになっても「また相談したい」と思われる人の聞き方なのではないだろうか。








