皆さんにも子ども時代にこんな経験はないだろうか。

 待ちに待った誕生日。両親が買ってくれたプレゼント。ワクワクしながら包みを開ける。しかし、中から現れたのは自分が欲しかったものではない玩具。思わず逆上し、絶叫する。「欲しかったのはこれじゃなーい!!」――。

 そんな誰しもが「あるある」と頷きそうなことをコンセプトに商品化したのが、ザリガニワークスが企画・販売する玩具「コレジャナイロボ」だ。

「コレジャナイ」の次は「土下座」がヒット!<br />ザリガニワークスが狙うビジネスモデルとは?ザリガニワークスの武笠太郎氏(左)と坂本嘉種氏。手前に並ぶ玩具のうち真ん中が「コレジャナイロボ」(写真撮影:大来 俊)

 ザリガニワークスは玩具やキャラクターのデザイン、企画開発などを生業とする、武笠太郎氏と坂本嘉種氏が共同で代表取締役を務める2人だけの会社。コレジャナイロボは武笠氏が一つひとつ手で作っている。

 素材は木製。腕部は胴体に釘で打ち込まれている。頭部や胸部の意匠は油性マジックによる手書き……。「偽物感」と「カッコ悪さ」がてんこ盛りで、見るからに「欲しくない」と思われそうなロボット玩具である。

 しかし、これが今、抜群の人気だ。発売は2001年。当初は鳴かず飛ばずだったが、2004年、ECモールの「livedoorデパート」への出品をきっかけに、当時ブームとなっていた個人ブログで話題が拡散し、注文が殺到する。

 武笠氏一人による手づくりのため生産は追い付かず、一時は注文後3ヵ月待ちの状態になった。足かけ12年で売れた個数は6000体ほど。一体約3000円なので、なかなかの売上ですね……と、皮算用して話題を振ってみると、武笠氏は意外なことを口にした。

「このロボの本体をたくさん売ることがビジネスの目的ではないんですよ」

進む企業とのコラボレーション

 そう、武笠氏の手作りによる木製玩具はあくまで“フロントエンド”の商品だ。

「『これを手作りしています』というコンテンツを世の中に発信しているという感覚です。そして、それを知ったメーカーさんに、関連グッズを商品化していただいたり、自社の商品とコラボレーション(コラボ)させていただいたりすることによる、キャラクタービジネスこそがメインの狙いです」