谷社長による改革の第1幕は、止血という側面が強かった。しかし、利益体質が定着してきたことで、攻勢に打って出る。どの改革もこれまでの文化を改める壮大なものだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 清水量介)

 今日、日本人は「ファミレス」にどのようなイメージを持つだろうか。たまたま近くにあるから「ファミレスでも行くか」と消極的に選択する利用者が多いのではないだろうか。

 谷社長による一連の改革第2幕の先にあるのが、そうした従来の日本人のファミレス観を覆そうという大きな野望だ。具体策の一つとして今、次世代のファミレスを構築すべく社内では「ネクストガスト」プロジェクトが動いている。

 一言でいえば、消費者の「ファミレスでも行くか」という気持ちを「ガストに行こう」に変えることを目指している。言ってみれば、スターバックスのような名指しされるブランドのレベルまでガストの価値を高めようとしているのだ。

 変更するのは内外装のデザインはもちろん、メニュー、オペレーション、サービスなど多岐にわたる。その実現のため大胆に外部人材を登用した。

 また、これまでのすかいらーくは、純血主義だった。新卒で採用した社員が幹部になるというのがほとんどだった。しかし、ベインの傘下になった11年以降、本部長クラスに外部の人材を多く入れた。マクドナルドやユニクロなど、国内の外食や流通業のみならず、スターバックスの米国本社の幹部、あるいは、外資系金融機関など、わずか1年ほどで15の経営幹部のポジションのうち、10が外部出身者となった。

 ただし、ガストの営業を担当する執行役員、ガスト以外の全ブランドを担当する執行役員のように、ファミレス事業の根幹部分は、生え抜きの幹部が担っている。

 外部からの人材は、お店にどうやって材料を運搬するかなどのサプライチェーンマネジメントや、お店での従業員の動き方を分析するオペレーション改革、さらには、採用・教育などの人事部門など、ファミレス事業を周辺からサポートする役割を主に担っている。いわば、改革のスピードを加速させる存在だ。