どうも最近テレビなどでJALのコマーシャルが目立つし、JAL寄りの記事が目立つなあと思っていました。そこで調べてみると、なるほど、羽田空港の国際線発着の新枠の配分が今月中に行なわれるため、どうやら少しでも多くの枠を獲得すべく、JALが世論を味方につけようとしているようです。

羽田国際線発着枠の
平等配分はおかしい

 羽田空港の国際線発着枠は来春から1日あたり約40枠増える予定です。そのうち約20枠が国内航空会社に配分される予定なのですが、羽田発の国際線は航空会社にとってドル箱なので、JALとANAが1つでも多くの枠を獲得しようと競い合っています。

 ANAは、JALが過剰な政府支援で必要以上に強い企業として再生した結果、競争環境に歪みが生じているので、ANAに多めに配分することによりこの歪みを是正すべきだと主張しています。

 これに対してJALは、消費者利便向上のために均等に配分されるのが妥当と主張しています。ちなみに、JAL寄りの評論家は「ANAは、JALが破綻して独占した路線では客単価を上げている。このことからも、発着枠を平等に配分した方が国民の利益になる」と発言しています。

 この問題については、どう考えるべきでしょうか。私は、ANAの味方をする気はありませんが、客観的に状況をみると、やはり平等に配分というのは3つの観点から明らかにおかしいと思います。

 第一はANAも主張している競争条件の歪みです。例えば2013年4~6月期の四半期決算の純利益は、ANAが66億円の赤字であるのに対してJALは183億円の黒字です。この差は、JAL再生の過程で政府が3500億円の公的資金を投入し、民間金融機関に5000億円以上の借金棒引きをさせるなどの過剰な支援を行なった結果に他なりません。政府の公的支援による利益の押し上げ効果は年間1000億円にも上ると推測されます。