東芝の田中久雄社長は、今後の東芝を支えるビジネスとして、エネルギー、ストレージ、ヘルスケアの3本柱を掲げた。ここでは『週刊ダイヤモンド』9月7日号特集2「東芝 “異例の新社長”が背負う二つの宿命」のワイド版として、3事業のトップが語る特別インタビューをお届けする。最後は、新しく柱の一つに加わったヘルスケア事業の中核を担う、東芝メディカルシステムズの綱川智社長が語る。
――親会社である東芝の田中久雄社長が、ヘルスケア事業を東芝の3本目の柱にすると宣言しました。田中社長からどのような言葉をかけられましたか。
「今までの殻を破って成長しろ」と。
ヘルスケアを第三の柱だと打ち出してもらうと、世界中に1万人いる東芝メディカルシステムズの社員一人ひとりの意識も違ってきます。また、東芝グループ全体が一体となって、新しいイノベーションを生み出していこうという気持ちが強くなる。われわれとしては、本当にありがたいことですね。
社員には、「こうやって田中社長が言っているんだから、これを機に一歩殻を破ろう」と伝えました。今までもそういうつもりだったけど、田中社長のメッセージに乗っかって意識を変えていくことが大事だと。
――そうすると、ビッグスリーと言われる外資系企業に追いつくために、1兆円規模を目指していくということですよね。
ビッグスリーには、米ゼネラル・エレクトリック(GE)、独シーメンス、蘭フィリップスがいます。しかし、東芝メディカルが強いメディカル(医療)の診断機器分野のところだけをとってみるとね、フィリップスなんかともそれほど差がない。
例えば彼らは、診断機器以外のビジネスもやっていたり、薬品の会社を買収したりと、いろいろやっています。それらを合わせると、彼らは1兆円以上の会社です。メディカルだけではなく、ヘルスケア(健康管理)という広い分野を含めてですね。
でも、メディカルに限ると、世界第3位のフィリップスにも追いつけないことはないと。ただ、それには日々進歩している医療技術に向かって品質を上げ、研究開発を怠らないことです。
研究開発費はかなりかかっていますよ。売上高の約8%です。かなり使っているんですよ。