男子マラソンの世界記録が更新された。
9月29日に行われたベルリンマラソンで、昨年のロンドン五輪マラソン銅メダリスト、W・キプサング(ケニア)が2時間3分23秒で優勝。同じケニア人ランナーのP・マカウが11年のベルリンマラソンで出した世界記録を15秒更新したのである。マラソンの記録はついに2時間3分台の前半に突入。2時間2分台が見えてきたわけだ。
もう日本選手は到底追いつけない!?
他を圧倒するケニア・エチオピア選手
といっても日本ではほとんど話題になっていない。プロ野球ではパ・リーグのクライマックスシリーズ進出争いが白熱しているし、宮本慎也、前田智徳、石井一久らの引退発表が相次いだ。Jリーグは優勝争いやJ1残留、昇格争いが大詰めを迎えているし、世界体操では内村航平の個人総合4連覇、17歳のホープ・白井健三の床金メダルなどの活躍があり、ケニア人が樹立したマラソンの記録などには興味が行かなかったのだろう。また、ここまで記録が伸びると、日本選手には到底追いつけない別次元の記録という感があり、関心の範囲外になっているのかもしれない。
今年8月に行われたモスクワ世界陸上の男子マラソンの日本選手5人はいずれも2時間8分台の記録で代表に選ばれた。世界のトップとは5分から6分近くも差があるわけだ。世界陸上では中本健太郎が5位に入る健闘を見せたが、酷暑のため優勝タイムが2時間9分51秒と遅くなったことから上位争いができた。スピードマラソンでは相手にならないところまで離されているのだ。
とにかく今の男子マラソン界でケニア、エチオピア両国の選手の速さは他を圧倒している。現在、2時間3分台の記録を出した選手は3人いるが、2人がケニア人で1人がエチオピア人だ。世界歴代ベスト10を見ても7人がケニア、3人がエチオピア。さらに昨年の男子マラソンの記録ベスト50を見ると、なんと49人までがケニア・エチオピア勢で占められている。日本選手だけが低迷しているのではない。ケニア・エチオピア両国の選手の実力が突出しており、他の国はどこもとても敵わない状態が続いているのだ。