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電子書籍時代を雑誌はどう生き延びるのか
――電子化はバックナンバーを活性化させる(後編)

待兼音二郎
2013年11月1日
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 記事のバラ売りには、じつは別の流れもある。2010年9月にスタートした「G-Searchミッケ!」というサービスは、雑誌を記事単位でPDFでダウンロード購入できるというもの。週刊ダイヤモンドや週刊東洋経済の記事も購入可能だ。3ページまでの記事が210円、7ページ以上は420円などと価格が高いため、資料として記事を集める人以外にはアピールが弱いが、こうしたサービスがより安価になって利用者も増えれば、雑誌というパッケージの枠が揺らぐことにもなりかねない。

紙媒体と電子アーカイブの二本立てが主流になるか

 雑誌記事をマイクロコンテンツ化した各誌のレーベルは、今のところ好調だ。電子書籍を初めて読む人向けの入口としても受けているように思える。しかし、一部100円の電子本なら1万部売れても総売り上げは100万円だ。そこから電子書籍ストアの取り分が引かれるのだから、出版社の利益はさらに少ない。各誌とも、すでに述べたようにマイクロコンテンツはファン層を広げるためのものと位置づけているが、そうして獲得したファンを本誌購読者に育てる努力も欠かせない。

 電子版への完全移行が進まないことには、技術的要因もある。iPadなどの大画面タブレットでも誌面を見開き表示にして文字まで読むことは難しいし、ダウンロード時間が長いため、個々のページの文字が鮮明になるまでにしばらくかかり、まどろっこしいこともある。

 何より大きいのは、紙と違って電子版ではパラパラめくって記事を探せないことだ。雑誌のよさは、硬軟さまざまな記事が詰め合わされていて、レストランのビュッフェのように好きなものを選んで読めることにあると考える。ページを繰りながら迷いつつ選ぶことも、読書の楽しみだと思うのだ。電子版ではこれができない。

 だから紙の雑誌は、まだまだなくならないと個人的には思う。しかし、過去記事を電子版で読みたいという需要も確実にあり、紙の本誌と電子アーカイブという二本立ての展開が主流になるのではないか。後者に、記事のマイクロコンテンツ化や、定期購読者向け閲覧サービスがあることは記事内で述べたが、より進化した形態も今後出てくることだろう。

(待兼音二郎/5時から作家塾(R)

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