2008年は「サブプライム問題」が「金融危機」に発展した、投資家にとってはひどい一年だった。内外の株価は大きく下がり、円高にもなったので、リスク商品での運用はほぼ全滅状態だった。
一方、12月19日の「日本経済新聞」によると、08年は18年ぶりに個人投資家が年間を通じて日本株を買い越す見通しだという。日本株に関する個人の売買は趨勢的に売り越しが続いているが、株価が急落したときには買いが増える傾向がある。
前回買い越しだった1990年は、バブル崩壊の初年度であり、その後も株価は下落した。買い越しにまでは至らなかったが売り越し額が縮小した03年は、その後の上昇相場の起点になった。今回はどちらだろうか。
もちろん、先を見通すことなどできないが、昨秋以降、見たことがないスピードで景気が悪化しており、いまや企業の利益の悪化は株価の下落に十分追いつき、やや追い越し気味の状況にある。つまり、株価は利益に対して割安ではない。
また、トヨタ自動車が営業赤字に陥るような状況まで想像していた人は少ないだろうから、現状の景気悪化にはネガティブな方向のサプライズがある。たとえば、日経平均株価が6000円程度に落ち込むような、昨秋新規に参加した投資家が損切りすべきか悩む状況が、年内に一度訪れる心配が十分ある。
不況というと、利回り低下を狙った債券投資が投資の定石だ。特に金利の低下余地の大きな外国の債券は狙い目で、為替リスクをヘッジしながら長期債を買ってみたい。しかし、個人の場合、FXで為替ヘッジを行ないながら、外債投資をするのはそうとうに骨が折れる。
景気が悪化した状況から株価が上昇するときには、株価は利益に対して割高に見える局面から上昇し始めて、後から利益の改善がついてくることが多い。