ネイル先進国の米国では、ネイル市場が1兆円規模といわれており、それには及ばないものの、日本でもサロンや物販を含めてネイル市場は2000億円市場に育ってきている。この成長を支えているのが、ここ数年の間に流行しているジェルネイルだ。ジェルネイルとは、ジェルと呼ばれる樹脂を爪に塗ってUVライトにかざして硬化させながら仕上げていくもの。実際に、ジェルネイルを扱うネイルサロンが急激に増えている。

 従来のマニキュアは、完全に乾くまでの間にせっかくのネイルがよれてしまったり、ムラになってしまったり……。それでガッカリしてしまった経験がある女性は少なくない。

 ところがジェルネイルは、一度硬化させてしまうと、指同士が当たってもネイルがよれてしまうことがない。さらに爪表面の透明感が高く、つやつやしてきれいなこと。3~4週間は塗りなおさなくてもよいというモチのよさなどが、支持を集める要因として考えられる。これによって日常的にパソコンを使う人や、水仕事など家事で手を酷使する女性たちもジェルネイルに関心を持ち始めた。

 ところが、マニキュアならネイルサロンで施術してもらうと3000~4000円程度だが、ジェルネイルは1万円を下らないサロンが多い。モチはいいものの、一度の出費が大きいということで、消費不況の昨今、節約志向も働いて、自分で簡単にジェルネイルができるキットが、バラエティショップや家電量販店、一部DgSなどで見かけるように。「ジェルネイルって自分でできるんだ」と手に取る女性が増えている。

 そのひとつが、健康・美容機器製造卸販売のヤーマン(東京都江東区、山本貴三代社長)の「シエルネイルスターターキット」だ。

 海外のネイリスト育成学校で使用されているプロユースの商品で、爪の形を整えるやすりから、フレンチネイルがつくれるよう透明、白、ピンクの3色のジェル、UVライト、ジェルを除去するためのアセトンなどがセットになって9975円。ジェルは1色/10回以上使えるので、サロンに通うことを考えると割安だ。単品でカラーのジェル(8色、各2100円)も販売していて、20~30代の女性たちを中心に購入されている。

 ヤーマンPRの松永みち子氏は、「指先の美に対する平均値が上がっている」と前置きし、「シエルネイルスターターキットを購入して普段は自宅でジェルネイルを施して手入れをし、パーティや結婚式、シーズンイベントなどの特別なときにはサロンで施術してもらうという使い分けをしている人もいる。また、サロンでしてもらったジェルネイルも2、3週間すると爪が伸びてくるので、生え際のケアを自宅でするために購入するというケースもあるようだ」と、生活者がライフスタイルに合わせて使い分けをしている様子を語る。

 ビューティへの関心が高い客層が多い店舗なら、このような自宅ジェルネイルアイテムをラインアップすることも差別化の一つになりそうだ。


「ドラッグストアニュース」2月号 好評発売中!

「ドラッグストアニュース」

2010年一発目は、店舗現場を支えるキーマンの特集です。チェーン小売業にとって成長の重要なカギを握るスーパーバイザー(SV)。人口減少によって市場縮小が現実のものとなった今後、顧客化を進める店舗の現場をサポートするスーパーバイザーと、彼らを支える企業の仕組みが市場での優劣を決めるといっても過言ではありません。成熟社会での店舗運営と商品展開のキーマン、スーパーバイザーにスポットを当てます。また、今回2月号と4月号の2号にわたって、全世界でヘルス&ビューティケアビジネスを展開する有力企業、英国DgSブーツのレポートをお届けします。直営と合弁で3000店舗、フランチャイズ展開を含めると全世界で6000店舗を展開するブーツ。日本から一度は撤退したこの企業が、再び日本へやってくる日が近づいています。ブーツの最新情報をお届けします。
購読のお申し込みはこちらから