米経済に「雇用なき成長」到来Photo:Bloomberg/gettyimages

 米オンライン決済大手ストライプのパトリック・コリソン最高経営責任者(CEO)は先日、自身のXのフォロワー150万人に経済見通しを尋ねた。

 約1万3000人から集まった回答の平均は、今後5年間で経済成長率が2倍の年平均4.3%に加速し、就業者数は約8%減少するというものだった。

 これは「人工知能(AI)楽観主義者」のシナリオと言える。AIが経済産出量を大幅に増やす一方、数千万人の労働者が不要になる、というものだ。

 この予測が現実になる可能性はほぼゼロだ。就業者数がこれほど大幅に減ることはほぼなく、生産が急増している時はまずない。だが重要なのは規模ではなく、方向性だ。かつて「雇用なき成長」はあり得ないと思われていたかもしれないが、もはやそうではない。今まさにその様相を呈している。

 確かに、主要な成長指標は好景気であるようには見えない。米国のインフレ調整後の実質国内総生産(GDP)成長率は直近1年間の平均が2.1%と前年並みで、4-6月期は前期比年率換算で1.5%と低調だった。

 だが米株式相場は様子が異なる。関税や戦争、原油高、期待外れのGDPをものともせず、今年に入って13%上昇した。スコット・ベッセント米財務長官が先週、米国とイランが1日か2日のうちにホルムズ海峡開放で合意する可能性があると発言すると、株価は最高値を更新した。同海峡は依然として閉鎖されたままだが、株価は最高値圏を維持している。

 株式相場がGDPとかい離している理由はいくつか考えられる。まずはバブルだ。あるいは、市場が将来について何かを告げている、つまり成長加速を示唆しているのかもしれない。

 バブルの時は通常、株価は利益より速いペースで上昇し、株価収益率(PER)で見たバリュエーションが高くなる。だが米企業の利益はこの1年間、株価より速いペースで増加した。ファクトセットによると、投資利益が業績を押し上げたネット通販大手 アマゾン・ドット・コム とグーグル親会社 アルファベット を除くと、4-6月期の利益はこれまでのところ32%増と驚くほどの水準だ。このためPERは低下した。