千葉県・舞浜にある東京ディズニーリゾート(TDR)に、新しい巨大な“お城”が現れた。TDRを運営するオリエンタルランド(OLC)の直営ホテル3号店となる「東京ディズニーランドホテル」だ。7月開業を控えるこの大型ホテルが、舞浜ホテル市場で“台風の目”となっている。
舞浜ホテル群は客室稼働率80%台後半が当たり前。TDRの集客力を強みに高稼働を誇り、ホテル業界では羨望の的。そんな舞浜市場が変貌しつつある。ディズニー来園者数の伸びが鈍化する一方、周辺の宿泊施設が増え続け、お客の奪い合いが激化しているのだ。
昨年は「東京ベイ舞浜ホテル」「三井ガーデンホテル プラナ東京ベイ」が開業。既存ホテルが稼働面で影響を受けるなか、「過去最大の脅威」(舞浜のホテル関係者)であるディズニーランドホテルがまもなく開業する。
3号店は来園を促し、「マーケットの活性化につながる」(長田明・シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル総支配人)。問題は、705室という客室数の多さだ。OLC直営は計1700室超となり、オフィシャルホテル、パートナーホテルを合わせると14ホテル、約7900室にまでふくらむ。「もはや従来どおりディズニー客をターゲットにしているだけでは、ジリ貧になる」(関係者)。
20年前に続々開業したオフィシャルホテルであるシェラトン、「ヒルトン東京ベイ」「ホテルオークラ東京ベイ」は、いずれも“対・3号店”策となる大規模改修を実施中。シェラトンは、お台場並みに“大人がもっと楽しめる東京ベイサイド”を新機軸の1つに盛り込んだ。ディズニー客はホテルで食事をしないというのが定説だが、鉄板焼きなど飲食施設を充実させ、都心の会社員や年配客、MICE(国際会議・展示会・見本市、報奨旅行)需要を開拓し、ディズニーを目的としないお客も取り込もうというのだ。
OLC自身、“ディズニーランド頼み”を脱すべく、ホテルや10月開業のシルク・ドゥ・ソレイユ専用劇場、舞浜の外でのテーマパーク展開など、次の成長路線を模索する。舞浜ホテル群に試練の転換期が訪れようとしている。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 臼井真粧美)