有料老人ホーム大手のメッセージが、“脱老人ホーム”を掲げている。老人ホーム事業よりも営業利益率の低い高齢者向け住宅事業や在宅介護事業へシフトする戦略にどう勝算を描くのか。
「アミーユ」ブランドで知られる有料老人ホーム大手メッセージは、2013年度に増収増益を見込む。売上高は前年度比10.1%増の740億円、営業利益は同23.3%増の66億円で過去最高となる(図(1))。
主力の有料老人ホーム事業(アミーユ事業)は堅調であり、12年3月にTOB(株式公開買い付け)で連結子会社化したジャパンケアサービスグループの在宅介護事業(ジャパンケア事業)は間接部門削減などで黒字転換する。ただし、営業利益率は8.9%にとどまり、ジャパンケア買収以前の15%を超える水準には届かない。
メッセージが展開する有料老人ホームは、従来の常識を打ち破った入居費用の安さが売りだ。かつての有料老人ホームは入居時に支払う一時金が1000万円以上、月々の利用料は30万円以上がザラ。そんな中で入居金ゼロ、月額利用料17万円前後という庶民向けの有料老人ホームを展開し、成長してきたのである。
各セグメントの業績を見れば、アミーユ事業は、低価格勝負をしながらも2桁以上の利益率を出す。営業原価や販売管理費が同業他社よりも低く、入居率で見た損益分岐点は業界平均の80~85%に比べ、メッセージは70%と低い。アミーユ事業の売上高は371億円と売上高全体740億円の50.1%、営業利益も60億円と全体の90.9%を占める。