「サバはとにかくノリがいいんですよ」と、池田さんが言う。

「脂も随分とノッてますしね」

「それに、サバはとってもラテンなんです」

 ん? サバはラテン!?

生真面目な筆者もダジャレの世界へ
日本人をラテンにする「サバ」のノリ

 言われてみれば、そんな気がしてくるから不思議である。サバという言葉にはたしかに日本人のラテン魂をくすぐる何か、がある。ふだんは暗くて真面目でおとなしい日本人を、妙にハイテンションにしてくれるのがサバなのだ。

 日本では、サバが旬の時期を迎える秋から春にかけて、各地で「サバまつり」が開かれる。なかでも、その脂のノリと主催者のノリの良さで他地域を圧倒するのが、青森県八戸市で開催される「八戸前沖さばアイデア料理コンテスト」である。

 昨年、栄えあるその審査員に呼ばれた池田さんは、「サバルボナーラ」「サバのミルク煮チーズケーキ」「さばみそタルト」など過去に応募された作品群の中に、こんなネーミングを発見し、思わず目を見張った。

「お前サバ読んでるだろ」

 あまりに秀逸すぎるネーミングの衝撃に、それがいったいどんな料理だったのか、まったく思い出せなくなってしまうほどだった。

 サバが日本人のダジャレ心をくすぐる効果に関しては、筆者も体験済みである。事前リサーチも兼ね、全日本さば連合会の「さば塾」に参加した時のことである。「へしこ」などつまみがてら、酎ハイ片手にサバの新商品やイベントをゆるーく考えてみよう、というコーナーがあった。

 みな「サバ好き」という共通点があるからなのか、初対面でも会話は弾む。「あんまん、肉まんの次はサバまんでどうかしら?」などと、話していた時だった。「ついでに、ダンスイベントもやろうよ」と、誰かが言い出した。

 じつは、筆者も同じことを考えていた。東京・浅草にはサンバカーニバルというものがある。これに負けないインパクトのある踊りは何か。サ、サ、サ……。ピンと来て、思わず発言した。

「そうだ、サンバダだ!!」

 みなの視線が、筆者に向く。

 やばい、空気が凍ったか、と思った次の瞬間、「いいね、いいね、それいいね」というノリになり、テーブルの上に広げられた大きな紙の上に「ダンスコンテスト(サンバダ)」と、書き加えられることになった。