「これも、我々はきちんと確かめなければいけない…」

 最終報告の段階というのになお、そう答えに窮する室崎委員長に代わって、事務局の(株)社会安全研究所の首藤由紀所長が、驚くような説明を始める。

「これらの証言は、まとめられたご本人に聞き取りをしています。後日、ご遺族から聞いた話を混在させてしまった。渦を巻いていたという話は、おそらくユーチューブの映像を見て、そこから作ってしまったのではないかと思うとお答えになられて…」

 遺族らは「それは絶対にあり得ない!」と、騒然となった。

「ユーチューブには、大川小学校は映ってませんよ!」

 事務局の首藤所長が、懸命に釈明する。

「いずれにしても記録がなく、市教委でまとめられた報告書には、根拠が明確でない部分がたくさんあるということです」

 根拠が明確に示されていないのは、むしろ検証委員会の報告書のほうではないか。しかも、委員が言葉に詰まると、事務局が代わりに説明する場面がしばしば見られる。

 この市教委の報告書には、こう記されている。

<約50分間に、子どもたち・先生方そして地域の方々は、何を話し、どう行動したかを聞き取り、そのままにまとめたものです>

<話を聞いたのは、直接被災した4名を含めて24名の子どもたちとA(注:記載は実名)先生、そして河北総合支所の職員になります>

 当時、支所の職員たちは三角地帯の法面を登るのに精一杯で、学校を見渡せる位置にはいない。このような描写を子どもたちが話したとは考えにくく、そう考えれば、A教諭の証言であることは見当がつく。

 誰がどこから、この光景を目撃したのか。

「ですから、(市教委の報告書をまとめた方に)聞いたら、そのようにお答えになった。その方のご記憶で言われているので…。よくわからないことについては、ここには掲載していない」

 そう室崎委員長が苦渋の表情を浮かべると、会場から「情けねえ」の声が飛んだ。