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うちの会社のスゴい商品をヒットさせる方法 石黒不二代

ネット時代の「リアル店舗の逆襲」

石黒不二代 [ネットイヤーグループ代表取締役社長兼CEO]
【第3回】 2014年1月29日
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 ネット通販がどんなに隆盛したとしても、人はデジタルの中だけで生きているはずはありません。1日の行動の中で「顧客接点」を考えることは非常に重要なポイントです。企業は、今一度、ユーザー1人ひとりの行動を分析し、どこでユーザーと接点を持てるのかを考え、戦略を練りなおす必要があります。冒頭で、ユーザー行動の変化についてゆくと述べましたが、ユーザー行動は企業が作り出すこともできるのです。

 普段はコンビニ、ネット通販で買い物をするユーザーも週末はまとめ買いでスーパーへ。配送をしてもらう場合は、不在になるよりは、コンビニで受け取った方がいい。……これはあるユーザー行動の例ですが、このように、ユーザー行動は、今、多様性を見せています。となれば、たくさんの顧客接点を持っている企業の方が有利だと感じませんか?

 物流システムもネットの進化とともに大いに発展しました。マスメディア、マスプロダクション、マスコンサンプションの時代は、大型の輸送手段を持つ航空機や電車が輸送の主役でしたが、今や、個別配送をする運送業者が主役です。ネット通販という新しい小売業が他産業に恩恵をもたらしました。しかし、この配送というものも重要な顧客接点になりえます。なにしろ、どんな形でもユーザーに接触するものは新しい顧客接点なのです。

 現在の流通プロセスでは、モノを届ける起点は主に物流倉庫ですが、これからはリアル店舗からの配送が増えるかもしれません。また、配送自体を“お店化”する可能性もあり、すでに運送業者を中心にトライが行われています。つまり、デリバリーしたときに、注文を聞いてくれるような“御用聞き”が、復活するのです。統計によれば、一人暮らし世帯は増加の一歩、特に、年配の1人暮らしの方や身体の具合が悪いとき、配送してもらったその場でオーダーを取ってくれれば利便性は高いはずです。

 わずか2つの事例を紹介しましたが、この2つの例はかなり商圏が大きそうです。しかも、この2つの事例は、リアル店舗を活用することができるマーケティングのバリューチェーンの氷山の一角に過ぎません。だから私は、今後はネット店舗だけではなく、リアル店舗を持っている企業の方が強くなると考えているのです。1社がネット店舗、リアル店舗、そして配送の全部を持つような、つまり、バリューチェーンの中の主要な顧客接点を持つ企業があれば、最強のポジションをとれるでしょう。また、店舗を持つ企業と配送業者などとの協業など、産業間の連携も深まるでしょう。

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[ネットイヤーグループ代表取締役社長兼CEO]


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こんなにすごい技術、製品がうちの会社にはあるのに、なぜ売れないんだろう…。これは多くの日本企業が直面している問題といえます。この連載では、インターネットが当たり前の時代において、経営の目線から自社の技術を生かしつつ、ユーザーに受け入れられてヒットする商品の作り方を解説していきます。

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