2013年は日本が大きな転換に踏み切った年だった。経済面では何と言っても「アベノミクス」に尽きる。黒田日銀が「異次元金融緩和」に踏み切り、10兆円を超える補正予算も手伝って、日本経済は回復基調に入った。さらに、2020年の東京オリンピック開催も決定、楽天の田中将大投手が24連勝という前人未踏の大記録を打ち立て、同球団は初の日本一にも輝いた。総じて日本経済には明るい雰囲気が戻りつつある。一方、安倍首相は年の瀬になって靖国神社に参拝し、日中、日韓との関係改善はさらに遠のいたようにみえる。

さて、新年はまず4月に消費税増税が実施される。景気への影響が懸念されるものの、財政再建には道筋がついたとは言い難い。さらに緊張高まる東アジア情勢に、安倍政権はどう対処するのか。2014年は午年。軽やかに駆け抜けることができるのか、暴れ馬のごとき年になるのか。経営者、識者の方々にアンケートをお願いし、新年を予想する上で、キーとなる5つのポイントを挙げてもらった。

いしぐろ・ふじよ
ネットイヤーグループ代表取締役社長兼CEO スタンフォード大学にてMBA取得後、シリコンバレーにてハイテク系コンサルティング会社を設立し、日米間の技術移転等に従事。2000年よりネットイヤーグループ代表取締役として、ウェブを中核に据えたマーケティングを支援し独自のブランドを確立。著書に『言われた仕事はやるな!』(朝日新聞出版)がある。

①「リアル店舗の復活」のはじまり

 ECサイト(ネット通販)の急成長やショールーミング(小売店で確認した商品をネット通販でより安価で購入)などのユーザー行動により、リアル店舗が危機的状況に追いやられている。しかし、2014年は顧客接点や顧客体験の多様化によって、顧客がネットとリアルを意識せずに使うようになり、リアル店舗を持つ企業が有利になる、その兆しが見える年になるだろう。

②DMP(データマネージメントプラットフォーム)がスモールスタート

 ITおよびマーケティング業界で、「次はこれだ」と言われているDMP。数々のデータソースを使った、顧客分析のためのプラットフォーム、企業の導入は必須と言われている。しかし、あまり複雑で大きなプラットフォームを目指さず、意思決定に必要なマーケティング活動のプロセスや成果に関連するデータを可視化したマーケティングダッシュボードやメールだけのマーケティングオートメーションなど、仮説検証がしやすいところから導入が進む。