今、多くの企業の現場では、「マーケティング」が売上を左右する大きなカギになるという認識が高まっています。マーケティングとは、「人間や社会のニーズを見極めてそれに応えること」「ニーズに応えて利益をあげること」と現代マーケティングの第一人者であるコトラーは語っています。
前回、「これは売れそうだ」と思った自信のある良い商品や技術を持っているのになぜか売れない企業が多い、その理由についてお話ししました。そして、今、本当に売れる「良い商品」とは、「顧客の体験」を変えるものであるとご説明しました。
これからの時代、よりよい体験を提供する商品やサービスが必要であり、さらに、商品やサービスをよりよく手に入れる方法、よりよい体験としての認知、そしてよりよいケアを受けられるサポート体制が必要です。私たちは、企業活動のあらゆる側面で常に「売れる仕組み」を作ろうとしますが、それは、必ず、認識されていないほどのニーズを実現するような「ユーザー側に立った売れる仕組み」でなくてはならないのです。
これこそが今、ヒット商品を生む最大のカギといえますが、多くの日本企業には未だにこの「ユーザー側」に立った「売れる仕組み」づくりができていないと私は考えています。
マーケティングさえできていれば
「強い営業」はいらない
では、このユーザー側に立った「売れる仕組み」とは何を指すのでしょうか。
「マーケティング」と聞くと、日本では「宣伝活動など企業活動のごく一部」と捉えがちです。しかし、本当に売れる仕組みをつくるには、こうした“狭義のマーケティング”だけではなく、顧客とのよりよい関係づくりのために、企業活動全体を最適化するような“広義のマーケティング”を実施することが必要です。
「広義のマーケティング」とは
①サービスが売れるために顧客のニーズを知るための「調査」
②ニーズに合った商品をつくる「プロダクトマーケティング」
③顧客が存在を知り、特徴を理解する「広告、宣伝、営業」
④消費者に手に入りやすいような流通確保や見やすい商品展示を行う「チャネルマーケティング」
⑤適切な価格で提供する「価格政策」
⑥再購買する顧客維持のための「カスタマーサポート」