「明日ママ」の議論が
沸騰する現状は…
児童養護施設を舞台にした日本テレビ系ドラマ「明日、ママがいない」の内容について大きな議論が巻き起こっています。
脚本と監修は、「家なき子」「高校教師」「聖者の行進」など、これまでも数々の世相を反映した話題作を送り出してきた野島伸司氏。芦田愛菜、鈴木梨央の両人気子役の共演作品としても話題になっていましたが、「赤ちゃんポスト」に預けられた主役が「ポスト」とあだ名されたり、施設職員が児童に暴言を吐くなどのシーンが問題だとし、放送中止の申し入れが起こるなど抗議が相次ぎました。1月27日以降は、番組スポンサー8社もすべてがCM放映を見合わせると発表しています。
親が育てられない子どもを匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を設置する熊本市の慈恵病院は、「施設の子どもや職員への誤解、偏見を生む」として日本テレビに放送中止を要請しました。
これに対して日本テレビは、「事態を重く受け止める」としながらも、「子どもたちの視点から『愛情とは何か』を描くという趣旨のもと、子どもたちを愛する方々の思いも真摯に描いていきたい」とコメントを発表し、予定どおり放送継続の意向を示したのです※。
この一連の動きに関してネット上では、作品としての賛否のほか、「フィクションはどこまで自由が認められるか」「現実とかけ離れ過ぎているものはフィクションと呼べない」「テレビドラマはフィクションだから視聴する側も自覚が必要」などなど、「フィクションと表現の自由」について、さまざまな意見が寄せられています。
児童養護施設の関係者や、児童養護施設出身者を支援する団体の人々からは、「子どたちはもっと純粋だし、職員は親元にいつか返すために本当に頑張ってる」 「施設では体罰は虐待として通告義務があり、あのような光景は見らない。怒鳴っただけで通告される」「児童養護施設ってこんな所、職員ってこんな人たちと思われることが残念」など批判の声が多く見られます。
一方で、「一般の人の意識を喚起させる意味はあり」と、このドラマによって児童養護施設や里親システムの存在、その問題点が世間から注目される効果はあるとする意見もあります。