共働き家庭の増加に伴い、男性の育児参加を求める声は多い。しかし、男性が育児や家事に参加するためには、「長時間労働」「職場の理解不足」「育休制度利用者をフォローする仕組みがない」などの弊害があると言われる。そこで今回は、日本労働組合総連合会(東京都千代田区)が男性1000人に対して行った調査から、男性がおかれている現状について考えてみたい。

 調査は「パタニティ・ハラスメントに関する調査」。調査期間は2013年12月4日~12月9日。調査対象は20歳~59歳の男性有職者。調査方法は、調査機関ネットエイジアの協力を得た携帯電話によるインターネットリサーチ。

男性の子育てに理解があるのは?
「職場には誰もいない」が45.1%でトップ

 育休の取得経験について(調査対象のうち、子どもがいる男性525人に行った調査)聞いたところ、「取得したことがある」(5.7%)、「取得したことはないが、取得したかった」(45.5%)、「取得したことはなく、取得したいと思わなかった」(48.8%)という結果に。また、育休の取得意向について(調査対象のうち、子どもがいない男性475人に行った調査)では、「子どもが生まれたときには取得したいし、取得できると思う」(26.3%)、「子どもが生まれたときには取得したいが取得できないと思う」(52.2%)、「子どもが生まれても取得したいと思わない」(21.5%)となった。

 調査の中で、「自分の職場は男性も子育てをしながら働ける環境にあると思うか」という質問に対し、「非常にそう思う」「ややそう思う」と答えた男性は21.9%だったのに対し、「あまりそう思わない」「全くそう思わない」とした男性は51.0%。1週間の労働時間別に見たところ、差が大きく出たのは「全くそう思わない」と答えた割合だ。35~59時間の人(775人)では24.9%だったが、60時間以上(164人)では42.7%だった。当然のことではあるが、労働時間が長い人ほど子育てとの両立が難しい環境だと考えていることがわかる。

 また、「職場で、男性の子育てに対し『最も理解がある』と感じるのは誰か」を単一回答で聞いたところ、最も多かったのは「職場には誰もいない」(45.1%)。2位以下は「同僚・部下(女性)」(15.9%)、「同僚・部下(男性)」(12.8%)、「上司(男性)」(10.1%)、「上司(女性)」(4.9%)、「社長・役員(男性)」(3.3%)、「人事・労務(女性)」(2.9%)などと続く。

 なぜ職場で男性に育児休暇取得への理解が進まないのか。日本労働組合総連合会では、子どもがいる男性の育児休業の取得経験について、「取得したことはなく、取得したいと思わなかった」と答えた50代は60.8%で、この世代だけ「取得したことはないが、取得したかった」と答えた割合よりも高いことに着目し、「こうした自身が育児休業を取得したいと思わなかった管理職の存在が、育児休業取得の妨げになっているのかもしれません」と推測している。