雇用を巡る会社のホンネとタテマエ
できれば再雇用を選択してほしくない!?

 我が国はすでに65歳以上人口が全体の25%、3186万人(総務省昨年9月発表)を占める高齢社会になっているが、企業がシニアを第一戦力として活用し続けるケースは稀だ。多くは30代後半から50代前半の正規戦力の不足を補う「第二戦力」としての位置づけをしている。企業としては、できることならば組織の若返りを図り、これから組織を牽引する40代までの中堅・ベテラン社員を中心に組織活性をおこないたい。シニア人材を補完的人材としてしか見ていない企業は多い。

◇ホントに活躍期待できる人材は3割ほど
 できれば再雇用者を半分にしたい――経営トップのホンネ

 この点でいえば、経営トップのホンネは、現状では全体の75%から80%もいる再雇用希望者を約半分にし、給与も新卒並みにし、もっと新卒者・中堅を増やしたい、というものだろう。65歳雇用の義務付けがなければ、積極活用したい人材はおそらく全体の3割ほどの“期待のシニア”に止まるのではないだろうか。

 ベテランシニアの活用とはいうものの、これまでこの連載で見てきたような問題人材の発生とともに、加齢に伴う体力・気力の衰えを見せる人も多いことから、人材管理や組織の活性化・労働生産性の点で、60代シニアの戦力化や組織貢献がうまくいっていない企業や職場も多いからだ。

 筆者の知りあいの50歳前半層が大変多い企業トップは、「もう、これ以上再雇用者が増えても仕事がない。なんとか、彼らを使ってくれる企業を探したい」とホンネをもらす。ファッション販売を主流にした業界では、古い売場主任など再配置がとても難しく、これまではお客様案内・検品などで吸収してきたが、もう限界に達してしまった。

 そこで、この企業が採った対処法は、なんとか60歳までの雇用は守るという大原則の下での、50代人材の大量出向計画だ。50代も半ばまでならば、戦力としての賞味期限が残っているので、受け入れ企業もまだ前向きに検討してくれる。

 受け入れ企業は、中小の流通業や介護施設の管理者など様々。売り場で培った接客力が買われるという。会社としては、相手方企業の経営サポートや業務人材として定年まで出向させ、相応の人件費を負担してもらい、現行給与を維持して、60歳までの雇用維持を図ろうとしている。そして当然ながら、60歳以後は可能な限り出向先への移籍・再雇用をさせるつもりだ。

◇再雇用後の給与・待遇は
 派遣や請負の市場相場も参考にすべき

 現実に役定後・定年後のシニアに60歳以降の仕事をあてがうことが困難な企業は、どうすればいいのだろうか。高年法を遵守し、シニアの再雇用を優先すると、若年者雇用を抑制し、外注仕事を内製化し、高年者のワークシェアや無理に仕事を作り出す必要に迫られる。どんな仕事でもいいから、あてがえる仕事を探すという職務開拓をする担当者の切羽詰まったお話を伺うことがあるが、果たしてそれは、企業とシニア個人にとって本当によいことなのであろうか?