例えば、岩崎電気や、文具メーカーのコクヨは3日に業績の上方修正を発表したが、上方修正は他の企業でも相次いでいるし、円安で多くの製造業で業績が回復しているのは周知の事実だ。

 ある大手証券の市場担当幹部は「手だれの個人投資家が、空売りで得た現金の振り向け先として、普段は触らない銘柄を循環的に物色したためではないか」との見方を示す。

 ソフトバンク以外は、過去の長期的な値動きがさほど大きくないという共通点がある。この幹部は「長く値上がりしていない銘柄は、大きく下がることも少ない。個人も経験を積んで、下落相場をうまくしのいでいる」と指摘する。

縮こまる個人投資家

 もちろん、そんな器用な個人ばかりではない。松井証券によると、顧客の信用買い建玉に占める評価損の割合を示す評価損益率は、2月4日にはマイナス16.18%に達し、多くの追証(追加の委託証拠金支払い)が発生したという。

 さらに同社の信用買い残高は、1月下旬には3300億円を上回っていたが、2月7日には2800億円を切った。ポジションを調整し、リスクを抑える動きが強まっているためだ。

 カブドットコム証券の山田勉・投資情報室長は「米国の金融緩和縮小、日本の4月の消費増税と今後の悪材料は多い。個人投資家はリスクを恐れ、縮こまっている状態」と指摘する。そんな及び腰でつい触ってみたのが、株価に安定感のある地味な銘柄だった、ということかもしれない。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)

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