ヘッドフォンスタイルで映像や音楽、ネットまで楽しめるニコンの「MEDIA PORT UP」。高機能タイプの「UP300x」とベーシックタイプの「UP300」の2タイプが発売された。 |
ニコンの「MEDIA PORT UP」(メディア・ポート・アップ)は、まるでSF映画やゲームの世界を地でいくような新製品だ。形はヘッドフォン型の製品だが、目の前に突き出たアイピースタイプのディスプレイで、AVコンテンツを楽しもうという画期的なディスプレイである。
SF映画などでは、古くからこの手のツールが登場していたし、実は、両眼で見る製品は、実際に現実の世界でも過去に市販されていたことがある。同社がこれを「世界初」などとうたっていないところをみると、もしかすると片目用の製品もあったのかもしれない。
とはいえ、過去に登場したこの種の製品は、あまり売れていなかった。ヒットしていれば、当然今でも店頭に並んでいるはずだが、ほとんど見かけることがない。
売れなかった理由はいくつか想定できるが、DVDプレーヤーなどのそばから離れられなかった不自由さがネックになっていたのだろう。せっかくのポータブルタイプなのに、プレーヤーと有線でつないで使うとなると、身動きが取りづらいのである。ならばソファーに腰かけて、大画面のテレビを見ていても変わらないわけだ。
ところが、技術が休むことなく進化し、今やハイビジョンビデオでさえメモリーに記録できるようになっている。アイピースタイプの映像再生ツールも、場所にとらわれずに使えるようになってきたわけだ。
さらに、本製品は無線LANを採用している。専用のコンテンツ配信サービス「UPLINK」から、好みのストリーミングコンテンツを取得できるのだ。将来は、映像のウォークマンのような存在になるのかもしれない。
非常に興味深い製品なので、早速試作モデルを借りてみた。
サイズは、一般的な大型のヘッドフォンとほぼ変わらない。電池を含んで約385グラムと、軽くはないが、高級ヘッドフォンなみの重さに収まっている。頭全体で支える装着になるので、1~2時間程度の利用なら負担に感じることはないだろう。
このウェイトにして、必要なパーツが全て組み込まれているのだから立派なものである。単三電池2本で、動画なら約120分も再生できるという。一般的な映画を1本見られる長さなので、十分と言えよう。もちろん、電池を複数持っていれば、時間はさらに延長できるわけだ。